三重県津建設事務所は、「八手俣川君ケ野ダム長寿命化計画」策定業務に着手した。建設後44年目を迎えるダム施設で、今後の維持管理方針を踏まえ、補修の優先順位など総合的な長寿命化計画を取りまとめる。併せて、貯水池周辺斜面の地形地質調査も行う。担当は、建設技術研究所三重事務所(津市)、履行期間は2017年3月24日。
君ケ野ダムは、津市美杉町八手俣で、八手俣川と雲出川の合流点付近をせき止めて、洪水調整機能、農業・上水道・工業用水の多目的ダムとして建設された。完成は1972年3月。形式は重力式コンクリートダム。堤高は73b、堤頂長は323b、堤体積は33万1000立方b、総貯水容量は2330万立方b、有効貯水容量は1970万立方b。
計画策定では、土木構造物、機械設備、電気通信設備、その他施設について、維持管理に関する技術的工夫、コスト縮減方策、効率的な維持管理などを検討し、各設備の長寿命化、管理サイクルの長期化を可能にすることを目標に管理方針や計画期間、更新・対策費用などをまとめる。
計画策定の前段として、13年度に機械設備の維持管理計画、14年度に電気設備の維持管理計画、ダムの総合点検業務、耐震照査を実施している。同調査の成果を踏まえて、土木構造物では、補修を必要とする事項の補修計画、概算工事費、優先順位を算定する。
土木構造物、機械設備、電気通信設備について、国が示す長寿命化計画のマニュアルに沿って標準案を作成し、さらに統合して優先順位付けなどを行う。
長寿命化に向けては、維持管理・設備更新を前倒しすることで年度発生金額の平準化を図ることが計画の一項目としてあり、補修の優先順位を基に平準化案を算定する。計画に係る期間は、機械設備との整合を図り30年間として検討する。
貯水池周辺斜面の地形地質調査は、14年度に行ったダムの総合点検で、地滑りなどの地形の可能性がある斜面14カ所について、現地踏査を実施し、その分布状況や性状を把握する。
提供:
建通新聞社