愛知県東三河農林水産事務所は、かんがい排水事業「神野新田地区」で、パイプラインの新設を計画しており、設計を開始した。現地の調査や測量を含め、協和調査設計(名古屋市中川区)に業務を委託。履行期間は2017年3月15日まで。
同事業は、豊橋市神野新田町地内の開水路延長5700bに対して、パイプライン化する。既設の水路とは別ルートで計画しており、合わせて現在の揚水機場1カ所を移設して改築する。同事務所では、パイプラインのルートとともに、移設場所について検討を進める方針。
現在の開水路は、用排水兼用水路で、コンクリートやブロック積みの構造体。これに対して、パイプライン化により、強化プラスチック複合管(口径700_〜1200_)や塩化ビニール管(口径300_〜600_)による対応を計画している。
今回の委託業務では、現地の調査や測量により現況を把握、パイプラインの詳細なルートや揚水機場の移設場所について選定を進める予定。パイプラインの一部延長940bに対する詳細設計をまとめる。
また、17年度には残る延長約4800bの詳細設計をまとめ、用地補償を進める計画だ。合わせて、一部本体工事に着手する見込みで、揚水機場は19年度、パイプラインの全線は21年度の開通を目指す。
神野新田地区は豊橋市の西部に位置し、明治時代に干拓して造成した。市内有数の稲作地帯で、キャベツなどの作付けを進めている。用水路は、1972〜75年にかけて整備した開水路。耐用年数が超過し、老朽化が進んでいる上に、適時、適量の配水が困難になっている。
同事務所では、現状改善に向け、用水路のパイプライン化を打ち出し、水管理の省力化を図る。安定的な用水供給により、担い手農家の農地利用集積率を高め、農業経営の強化を図る方針だ。
総事業費は24億円を見込んでいる。内訳は工事費19・4億円、補償費1・2億円、設計測量費などその他3・4億円。
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建通新聞社