日刊建設工業新聞
2016/09/21
【鳥取】地震被災建物応急危険度判定士 今年度初養成講習会に約70人
県生活環境部住まいまちづくり課が主催する鳥取県地震被災建築物応急危険度判定士養成講習会が20日鳥取市尚徳町のとりぎん文化会館で開かれ、約70人が受講した。県では、熊本地震を受け、判定士の養成が急がれるため、2016年度は、中部地区でもう一回講習会を開くことにしている。
県では、平成18年に耐震改修促進計画を策定し、10年計画で目標を立てて耐震化を進めているが、4月に計画を改定してさらに5年延長して耐震化を促進することにした。現在、78%の住宅の耐震化率を89%に引き上げることにしている。県では過去10年間で耐震化率を10%引き上げたが、全国各地で震災が起こる状況を考えて耐震化を急ぐことにしており、今後5年間でさらに10%引き上げることにしている。
そんな中で、地震が実際に発生した場合、応急危険度判定士の役割がたいへん重要になっている。県では平成7年の阪神淡路大震災を契機に応急危険度判定士の制度を設け、ピーク時には950人程度の判定士がいたが、現在は770程度となっている。県では、目標人数を1100人程度に設定しているが、高齢化などで年々減っているのが実情で、本来、余震などによる2次災害を防ぐためにも地震が起きてから1週間程度で終えることを理想としている判定士活動にも影響がある。
そのため、今回の講習会から判定士の認定・登録要件を緩和し、資格は持っていないが、実務経験のある人たちにも幅広く参加してもらうことにした。講習会では、門脇構造研究所の門脇昇所長らが被災建築物の応急危険度判定マニュアルなどについて講義した。また、東部生活環境事務所建築住宅課の衣笠伸一郎建築技師が熊本地震判定活動の体験談を話した。前田弘信景観・建築指導室長は「今日の講習会や実地訓練を通してノウハウや能力をみにつけていただきたい」と話した。