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北海道建設新聞社
2016/09/15

【北海道】激甚指定、16日の閣議で−「中小企業支援も」安倍首相 

 安倍晋三首相は14日、台風による十勝管内の被災状況を視察し、激甚災害の指定をあす16日に閣議決定することを表明した。公共土木施設の災害復旧で国庫補助率をかさ上げするなど特例措置が施行される。同行した道の高橋はるみ知事は、一連の台風で災害復旧事業に当たる施設の被害額が、道と市町村を合わせて13日時点で1239億円に上ると説明。復旧の促進や交通網の確保などを緊急要望した。
 本道で激甚災害が指定されるのは礼文町で大規模な土砂災害があった2014年8月の豪雨災害以来2年ぶり。
 帯広入りした安倍首相は、高橋知事、道の佐藤嘉大危機管理監らと陸上自衛隊のヘリコプターで帯広市中島町の札内川決壊現場や、耕地が流された芽室町上美生地区、行方不明者が出ている清水町旭山地区の被害を確認した。予定していた新得町のJR橋崩落現場と日勝峠は悪天候のため中止した。
 帯広市川西農業協同組合の別府事業所では、十勝地区農業協同組合長会の有塚利宣会長ら農業関係者と懇談。続いて中札内村の十勝農業改良普及センターで高橋知事、米沢則寿帯広市長、浜田正利新得町長、高薄渡清水町長、宮西義憲芽室町長、田村光義中札内村長との意見交換に臨んだ。
 冒頭、高橋知事は、今後の防災や減災に向けた予算の確保や自治体に対する地方財政措置などを内容とした道独自と北海道東北地方知事会の緊急要望を安倍首相に手渡した。
 報道陣に安倍首相は「広範な地域ですさまじい被害、台風の爪痕を目の当たりにした」と視察の印象を語り、「被災された方々が一日も早く元の日常に戻ることができるように、インフラの復旧、復興、なりわいの再建に向けてわれわれも全力を尽くしていく」と、激甚災害の指定を閣議決定する方針を示した。具体的には「全国規模で道路や河川、橋などのインフラ、農林水産業の施設等の災害復旧事業への支援を拡充するとともに、被害の大きな自治体の中小企業への支援を厚くしていく」と強調した。
 高橋知事は激甚災害の指定について「北海道が経験したことのないような被害で(激甚災害の指定は)心強い」と説明。台風7、11、9、10号だけでなく、13号から低気圧に変わって羅臼町で土砂災害を起こした豪雨も一連の災害として激甚指定するよう求めたことを報告した。第3回定例道議会に台風被害対策の補正予算を追加提案することや、JR橋梁の復旧に向けて河川管理者として対応を急ぐ考えも明らかにした。
 この日は山本有二農林水産相も北見市内や十勝管内で豪雨による農地の被害状況を視察した。
 女満別空港から現地入りした山本農水相は、台風11号で氾濫・決壊した常呂川の農地浸水被害を見るため、北見市常呂町福山地区に直行。破堤や農作物被害の状況を説明した常呂町農業協同組合の小野寺俊幸組合長は「小規模な排水機場の整備補助が必要」と内水氾濫対策の重要性を訴えた。
 北見市端野町公民館で開いた意見交換会にはオホーツク管内自治体首長、農林水産業関係者らが集合し、一同を代表してオホーツク圏活性化期成会会長の辻直孝市長が山本氏に農地早期復旧支援など6項目の要請書を提出。山本氏は「北海道なくして日本の農林水産業はない。国が責任を持って復興していく」と答えた。
 また、複数箇所で落橋や道路崩壊が確認されている日勝峠を含む国道274号では、田中良生国土交通副大臣が日高町千栄の千呂露橋を視察した。
 橋の一部が崩落した同橋では、13日に仮橋が開通し、地域住民や工事用・緊急車両の通行が可能となったが、橋より先は至る所で道路が寸断され、調査も思うように進まない状況にある。
 田中副大臣は、わずか12日間で仮橋設置を終えたことを評価した上で「国交省、北海道開発局、道、日高町と連携し、一日でも早い復旧に取り組んでいく」と決意表明。
 また、本復旧に当たっては「同じような形で造り替えては不安がぬぐえない。次はどういうものが良いのか、地元とも検討していきたい」と改良復旧の必要性も示した。