福島建設工業新聞社
2016/09/09
【福島】県建産連/公共事業の安定確保など県議会に要望
県建設産業団体連合会(小野利廣会長)は8日、県の29年度予算編成に向けて、県議会各党・各会派に対して要望活動を行った=写真。安全・安心を守る地域の建設産業を維持するためには@安定受注A適正利益B納税、人材育成、技術開発等C安定経営―のサイクルが必要だと訴え、そのための制度改善、支援策として「公共事業予算の安定的な確保等」「県産木材を活用した県有建築物の建設促進」「担い手3法(品確法・入契法・建設業法)の順守による危機管理産業としての地域建設業の経営安定化と適正利潤確保」を柱とする17項目(うち新規10項目)を要望した。
公共事業予算については、国土強靭化に向けたインフラの長寿命化と適正な整備に不可欠として、安定的・恒常的な確保を強く訴えたほか、建設産業全体の安定化につながるとして、維持修繕工事等における中長期公共投資額の見通しを示すよう要請。優先性、地域性を考慮し選定した工事の調査設計を前もって進めておき、着工可能工事をストックする仕組みも新たに提案した。
復旧・復興の進展に伴う公共事業量の県内2極化と、受注競争が激化しつつある会津地区の状況を懸念し、地域の実情を考慮した予算確保と、復旧・復興予算以外の通常予算の確保・増額を要望。@防災・減災対策となる公園整備など緑化関係A山地災害対策の林道等路網整備と治山事業B県有建築物の空調等設備機器リニューアル―を重点に挙げた。
資源の有効活用や治山対策、CLT・LVL(単板積層材)技術普及の観点から、県産木材を活用した県有建築物の建設促進も求めた。
入札制度では、地域密着型の小規模工事(予定価格3000万円未満)に対する指名競争入札の導入試行を再度要請。県と災害応援協定を締結する地域企業の受注機会の確保を目的とした「いのち貢献度指名競争入札(仮称)」として提案した。委託業務での指名競争適用拡大と適正な最低制限価格の設定、復興関連大型工事やため池等放射性物質対策、公共土木施設の維持補修委託業務などの県内業者が受注可能な規模での分割発注なども求めた。
予定価格については、担い手3法に基づき、受注者の適正利潤確保に向けて、上限拘束性の撤廃と工事の実態に沿った適正な価格設定を求め、設計労務単価のさらなる引き上げと調査方法の抜本的な改善とともに国に働きかけるよう訴えた。被災3県で適用している前払金と復興係数の特例措置延長も要請した。
測量設計業からは、若年者の雇用促進施策やICT技術に関する教育支援、災害時の契約制度改善などの要望が出された。
各党・各会派からは「建設産業存続のための政策としての視点で対応していきたい」「受け取った要望事項を精査検討し、予算に反映されるようにしたい」「復興後のしっかりとした本県の経済成長を考えていかなければ」「声が届くよう国と連携していきたい」などの回答があった。
要望事項(※新規)は次の通り。
▼公共事業予算の安定的確保等について▽中長期投資額(所要額)の見通しの提示※▽安定的・恒常的な予算の確保▽農業農村整備事業関係の当初予算の確保▽地域の実情を踏まえた公共事業予算の確保※▽公共事業個所のストックづくり※▼県産木材を活用した県有建築物の建設促進について※▼担い手3法(品確法・入契法・建設業法)の順守による危機管理産業としての地域建設業の経営安定化と適正利潤の確保▽公共工事の早期発注・発注の平準化▽労務単価のさらなる引き上げと現行調査方式の見直し▽諸経費の見直し・引き上げなど適正な予定価格の設定▽指名競争入札の一部導入・試行と委託業務に適した入札制度の構築▽県内業者への発注▽除雪の待機料▽担い手育成対策▽前払金の支出割合5割の延長▽間接工事費の割増し(復興係数の延長)▽ICT技術活用による生産性向上の取り組み▽災害時における速やかな対応