千葉市は、新庁舎整備基本設計業務の簡易公募型プロポーザルで、久米設計・隈研吾建築都市設計JVを優先交渉権者に選定した。契約締結後、来年10月末までを履行期間として基本設計を進める。同プロポーザルでは、同JVと日本設計が参加表明を行い、2者ともに1次審査を通過。提出された技術提案書に基づいて先月30日にプレゼンテーション及びヒアリング(2次審査)を実施した結果、同JVを優先交渉権者、日本設計を次点者とした。
新庁舎は、現本庁舎敷地約4haのうち、みなと公園・プロムナード側の約2haを活用し、現本庁舎の一部を撤去して建設する。計画規模は延べ約4万9000u、基本計画段階での試算による概算事業費は約298億円(設計費、建設工事費、解体工事費、移転関連費用、消費税等を含む)。建設後は現本庁舎、中央コミュニティセンター、ポートサイドタワーに分散している庁舎機能を集約する。
延べ約4万9000uの内訳は、執務面積1万5750u、議会面積2600u、作業面積7900u(会議室、書庫・倉庫、サーバー室、危機管理センター等)、共用面積4700u(食堂、トイレ、給湯室、市役所前市民センター等)、設備面積4250u(電気室、機械室、自家発電機室、電話交換室、守衛室等)、交通部分1万3800u(玄関、廊下、階段室等)。
新庁舎の空間構成に関しては、臨港プロムナードに面する部分は、市民駐車場やモノレール市役所前駅からのアクセス性が良いことから「フロントオフィス」として、来庁者向けに本庁業務のワンストップ性が発揮できるよう窓口機能を中心に配置することを基本とする。また、みなと公園に面する部分は「バックオフィス」として、通常時における市政運営の拠点・非常時における総合防災拠点としての機能を中心に配置することを基本とする。
これを踏まえて今回のプロポーザルでは、@新庁舎の立地特性A新庁舎の玄関性B建築計画の3つの課題テーマを設け、どのように基本設計を進める方針なのか技術的な提案を求めた。
「新庁舎の立地特性」では、新庁舎の配置場所における立地特性を踏まえた建物形状や建物配置計画のコンセプトについて、周辺エリア、周辺インフラ(臨港プロムナード・みなと公園・公共交通機関)、まちづくりへの寄与、まち並みとの調和等をキーワードとした。
「新庁舎の玄関性」では、一体的に活用可能な空間として、新庁舎の「玄関性」を持たせることを前提とした1・2階の具体的な計画について、情報収集・発信、総合案内・メインエントランス、閉庁時の庁舎利用、敷地内の動線計画(将来活用検討地を含む)等をキーワードとした。
「建築計画」では、長期間にわたって利用することになる新庁舎の『将来への変化の柔軟性』という視点を特に重視しつつ、『通常業務の遂行性の確保』や『非常時の業務継続性の確保』を実現するための各種機能を備えた建築計画について、フロントオフィス・バックオフィス、機能配置(ゾーニング等)、動線計画、セキュリティの処理(通常時から非常時へのシームレス性の確保等)、ライフサイクルコスト等をキーワードとした。
基本設計業務の内容は、設計条件等の整理、基本設計図書の作成、概算工事費の検討、透視図作成など。本年度は基本設計のほか、新庁舎整備事業アドバイザリー業務を山下ピー・エム・コンサルタンツ、本庁舎周辺測量調査を日本綜合技研、新庁舎整備地質調査を両総コンサルタントにそれぞれ委託している。
このうち新庁舎整備事業アドバイザリー業務では、基本設計内容の確認や進捗状況のモニタリング等を行うとともに、必要に応じてVE提案等を行うことで、基本設計者及び市と一体となって、ライフサイクルコストの削減に努める。