県夷隅土木事務所は、国道128号交通調査及び県単道路改良(幹線)合併委託として鴨川・大原道路の概略検討業務を委託した。鴨川・大原道路の鴨川市からいすみ市までの40qのうち、夷隅郡御宿町の約6・5qで道路の概略設計を行い、ルートを選定する。業務はサンコーコンサルタント(千葉営業所・千葉市花見川区検見川町3―301―23)が担当。委託金額は予定価格806万円(消費税抜き)に対し770万円(同)。委託工期は2017年3月25日。
検討の対象区間は夷隅郡御宿町の久保ほか地先。同業務では、これまでの調査・検討した内容について課題等や整備効果の整理を行う。そのうえで、調査対象事業周辺での施工現場条件について構造及び土質調査等の技術的課題を調査し検討。この検討結果を踏まえ、実現可能性の高い箇所(3か所程度)について概略設計を行い、課題、コスト及び工程比較を行う。概算用地補償費の算定も併せて行う。
同事業ではこれまでに整備計画検討業務や基礎調査業務を実施。沿道地域の状況などをもとに、優先的に整備する区間について検討を進めている。これまでに実施した調査内容は、@動植物文献調査A動植物現地調査B交通量調査C民間プローブデータD沿道状況E現道横断構成F交差点状況など。これらの調査をもとに、災害履歴、津波浸水域、災害時の拠点施設、孤立集落の状況、一部バイパスの概略設計などについて検討した。
「鴨川・大原道路」は、鴨川市といすみ市を結ぶ地域高規格道路。「茂原・一宮・大原道路」「館山・鴨川道路」とともに3路線で茂原市から館山市までの外房地域を縦貫する幹線道路として計画されている。
茂原市からいすみ市に至る「茂原・一宮・大原道路」(30km)と鴨川市から館山市に至る「館山・鴨川道路」(30km)は計画路線に指定されているが、2路線に挟まれた「鴨川・大原道路」は候補路線にとどまっている。
同道路は、起点が鴨川市、終点がいすみ市で総延長約40km。富津館山道路、圏央道などと一体となって外房・南房総地域の骨格を形成し、外房・南房総地域の循環道路としての機能の充実を図るとともに、地域間交流の活性化を図り、都市地域との連携を強化。観光産業など地域振興に資する道路として期待されている。
同地域の幹線道路である国道128号沿線の観光施設周辺の市街地では渋滞が発生。特に鴨川市内(国道128号横渚付近)の交通渋滞は激しく、休日は慢性的に渋滞が発生し、走行速度は10km/h以下となる。 同路線の沿線市町村を構成する夷隅長生医療圏は3次救急医療施設がない空白地域で、外房地域で唯一の3次救急医療施設である亀田総合病院まで約8割が30分、約2割が60分を超過。救急病院への所要時間短縮が急務となっている。
なお、これまでに実施した現道交通に対する調査や交通量調査、地域医療、防災に関する調査によると、同道路の整備により観光地での渋滞が緩和、沿線の観光地へのアクセスが向上し、利便性の向上が期待されるほか、第3次医療機関である亀田総合病院への搬送時間が短縮され、国道128号の代替路としてダブルネットワークが確保され、災害に強い道路ネットワークが構築される――との調査結果が示されている。