窯業技術センターの在り方を検討していた愛媛県は、施設を移転新築し機能充実を図る方針を決定した。移転先は砥部焼伝統産業会館第2駐車場(砥部町大南)の町有地。今後、新施設の詳細などが煮詰められるが建設年次や総事業費などは未定。
県は、築後50年以上が経過し老朽化・狭隘(きょうあい)化が著しいセンターの在り方を検討するため、2015年6月に学識経験者や関連業界団体、窯業者、官ら13人で構成する「あり方検討委員会」を設置、16年3月に最終案をまとめていた。
検討委員会では「現在地でのセンターの施設拡張は極めて困難。機能強化には現有施設の改修・改築ではなく、移転建て替えすることが望ましい」とし、移転先適地の検討が進められていた。
移転先となる砥部焼伝統産業会館第2駐車場の敷地面積は4738平方bあり、現施設敷地の2056平方bから2倍以上の用地が確保できる。
現施設はコンクリートブロック造の本館と鉄骨造スレート葺きの工房や試験室があり、各施設とも耐震性に不安があるほか、老朽化が進んでいる。また手狭なため十分な作業スペースが確保できていない。
全国にある15窯業系公設試験研究機関で最も古い建築年度である上、施設規模も最小の敷地・建築面積となっている。
窯業を代表する砥部焼と菊間瓦は、伝統的特産品であり、両産地が将来にわたり持続的な発展を図るため、新商品開発や人材育成などの課題解決のために先導的役割を果たす機能強化した拠点づくりが求められている。
検討委員会でまとめられた新施設の必要とする設備は、研究開発機能としては原料粉砕室、坏土作成室、成形室、焼成室、絵付け・施釉室、加工室。
分析機能では瓦試験室(新設)、分析室、化学試験室。
技術支援機能では技術相談室(新設)、恒温室(新設)、物性試験室、X線分析室。
情報収集・提供機能では釉薬資料室(新設)、情報図書室(新設)。
提供:建通新聞社