京都府は2日、宇治川圏域河川整備計画に安祥寺川と四宮川を追加する計画変更の原案を明らかにした。25年の台風18号を受けた対応。変更案を固め、近畿地方整備局長の認可を経て、28年度内に決定する考えで、29年度以降に事業着手する予定。
2日開催の河川整備計画検討委員会で2河川の追加を報告した。
現行計画は、治水が古川・井川・名木川・東高瀬川・七瀬川、旧安祥寺川・西野山川・西野山川支川、弥陀次郎川、戦川・新田川、志津川の12河川、河川空間整備は堂の川(木幡池)の1河川。今回の変更で治水に安祥寺川・四宮川を追加し14河川とした。
河川ごとの目標規模等をみると、古川・井川・名木川は宇治川合流点の排水樋門の流下能力と整合を図る規模(1/10。将来計画は1/30)。東高瀬川・七瀬川は掘削やネック部改修等により早期効果発現が可能な規模(1/10。将来計画は東高瀬川が1/100、七瀬川が1/50)。旧安祥寺川・西野山川・西野山川支川は一次支川山科川や下流完了区間の流下能力と整合を図る規模(1/10。将来計画は1/30)。弥陀次郎川・戦川・新田川は宇治川の背水の影響を受ける下流部に築堤区間を有し、小規模断面区間であるため段階施工は行わず、将来計画規模で整備を行う(1/50。将来計画も1/50)。志津川は下流区間の流下能力と整合を図る規模(1/10。将来計画も1/10)。
安祥寺川・四宮川は掘削やネック部改修等により早期効果発現が可能な規模(1/10。将来計画は1/30)とした。
安祥寺川の整備では、JR交差部から府道四ノ宮四ツ塚線の下流まで分水路(トンネル河川)を設置する計画。
河道断面拡大案、二層式河川案と比較した結果、分水路は河道拡幅が不要で、家屋移転も少なく、地下での工事となるため工事による近隣家屋への影響が小さいのが利点とした。
JR東海道本線及び京阪京津線との交差部は水路トンネルによる分水路を設置する。縦断形状は下流の整備済み区間との整合を図り、横断形状はJR東海道本線及び京阪京津線との交差部では不足断面を確保するよう直径(内径)3・5mの管路とする。
計画対象区間は府道四ノ宮四ツ塚線下流(整備済み区間上流端、950m)からJR東海道本線上流(1450m)までの延長約500m。
事業効果を早期に出すため段階的に整備を行う方針で、第一段階として、特に流下能力の不足しているJR東海道本線及び京阪京津線交差部に約200mの分水路(トンネル水路)を先行して築造する。次に第二段階として、その下流に約300mの分水路を築造(延伸)する。
四宮川は、河床掘削し、河道断面を拡大する計画。現河川幅と概ね同じ約4m〜6mでの改修を基本とする。四宮川の改修に合わせ、山科川の流下能力不足区間の断面拡大も行う。
縦断形状は下流の山科川との整合を図る。横断形状は、ほぼ全川にわたり家屋が連坦しており河道拡幅が難しいため、矢板構造による護岸とし、河床を切り下げて河道を拡大する。
矢板護岸は化粧パネル等で矢板が露出しないようにし、河川用地の余地を活用して親水空間を創出する方針。
計画対象区間は山科川への合流点から一級河川起点まで延長約2000m(JR東海道本線との並行区間除く)と山科川の四宮川合流点から下流約300mの計2300m。1/10対応時の整備方法は河道を掘り下げて断面を拡大する。
◇
現行の河川整備計画における進捗状況(28年8月末現在)は、▽古川(8500m、宇治川合流点から一級河川起点まで)=宇治川合流点から5800mが完了▽井川(3160m、古川への合流点から一級河川起点まで)=古川への合流点から1400mが完了▽名木川(1840m、古川への合流点から一級河川起点まで)=未着手(下流の古川の進捗状況に合わせて着手予定)▽東高瀬川(1100m、国道24号直下から一級河川起点まで)=測量・設計▽七瀬川(2000m、二層式河川上流端から遊水池地点まで)=遊水池予定地用地補償▽旧安祥寺川(1393m、JR東海道線直下から一級河川起点まで)=JR東海道線トンネル水路が完了(接続水路が未着手)▽西野山川(130m、西野山川支川合流点上流から捷水路上流端まで)=地元協議▽西野山川支川(98m、西野山川支川合流点上流から一級河川起点まで)=地元協議▽弥陀次郎川(1195m、雲雀橋上流から一級河川起点まで)=天井川区間(540m)の切り下げが完了▽戦川(494m、京阪宇治線上流から府道京都宇治線下流まで約220m、府道京都宇治線上流から一級河川起点まで)=測量・設計、用地補償▽新田川(326m、JR奈良線下流から一級河川起点まで)=測量・設計▽志津川(391m、志津川3号橋下流から堰上流まで)=整備完了。