千葉港港湾計画の改訂に向けた「千葉県地方港湾審議会千葉港幹事部会」(部会長=福川順・関東地方整備局千葉港湾事務所長)の5回目が1日、千葉市のプラザ菜の花で開催され、千葉港長期構想案の内容や構想の策定スケジュールについて審議した。構想案は、前回の専門部会で検討した経済波及効果やPPP/PFIなど民間活力の導入を盛り込み、千葉港長期構想案及び長期構想案の概要版としてまとめた。
構想案は、今月14日の専門部会で審議後、10〜11月にパブリックコメントを実施し、12月に千葉県地方港湾審議会千葉港部会に諮り、本年12月末までに策定する予定。
千葉港での民間活力の導入では、コンテナターミナルや物流センターを適用対象施設とした。コンテナターミナル整備・管理のPPP手法では上下分離式が一般的だが、港湾管理会社(民間)を設立し、整備・管理を一任する方式も視野に入れて検討。物流センターでは直接建設方式(公設民営)、PFI方式(民設民営)、公有地売却方式(民設民営)などの適用事例を盛り込んだ。またPPP手法の適用にあたっての留意事項として、事業への参加に見合う収益性の確保を挙げた。
一方、長期目標の取扱貨物量による経済波及効果は、現在の経済波及効果が約8・4兆円で、長期構想目標年次(2047年度)の経済波及効果は約0・6兆円増(7%)の約9・0兆円と推計。雇用創出効果も現在の約18万人から約3万人(17%)増の21万人と推計した。また、千葉中央ふ頭で取り扱う目標貨物量の蔵置に必要な面積は約52・1haで、現況(21・1ha)に対し31haが不足しており、埋め立て及び用地の機能転換により不足分を確保することとした。
長期構想案は、@長期構想の概要A千葉港の現状B千葉港を取り巻く社会情勢の変化C利用者・県民のニーズD千葉港が抱える課題E千葉港の長期構想――の6項目で構成。基本理念を「千葉の経済と600万県民の生活を支える社会基盤としての千葉港づくり」とし、千葉港の将来像と目標を設定。将来像の実現に向けた基本戦略と施策展開を示した。
基本戦略は▽ふ頭の再編・港湾機能の強化▽千葉中央地区の完成自動車流通拠点の強化▽信頼される港湾としての品質管理▽経営戦略組織の設置と戦略の策定▽千葉中央ふ頭コンテナターミナルにおける航路の拡大・多便化等機能強化▽戦略的なポートセールス▽自由貿易拡大に伴うアジア成長戦略の取り込み▽民間活力の導入による港湾経営・管理・整備▽後背地物流施設と連動した物流サプライチェーンの構築▽国内RORO便の充実強化▽成田空港物流機能と連動したSea&Air▽民間専用ふ頭の機能維持のための支援。
ふ頭の再編・港湾機能の強化では、千葉中央地区で不足しているヤードを確保するため、千葉中央地区と出洲地区の間の埋め立てにより港湾用地を確保し、ふ頭機能の再編を行うほか、コンテナ貨物・完成自動車・RORO貨物を中心とした岸壁、荷捌地、野積場等の再編、岸壁の増深による船舶の大型化への対応など実施。また、コンテナターミナルの拡張及びガントリークレーンの増設、更新などを進める。
葛南地区では臨港道路の東京方面への新設を進め、国道357号へのアクセスを複数確保。交通渋滞の緩和を図り、併せて葛南中央地区と葛南東部地区を結ぶ臨港道路を新設し、葛南地区から千葉中央地区へのアクセス改善を図る。