大阪・奈良府県境(亀の瀬狭窄部)から河口部に至る大和川下流部の遠里小野地区など4地区について、流下能力向上、侵食・洗掘対策を実施する方針が固まった。対策期間は今後おおむね5年。大阪市、堺市、八尾市などの沿川8自治体、大阪府、国土交通省近畿地方整備局、大阪管区気象台などで構成する「大和川下流部大規模氾濫に関する減災対策協議会」の第2回会合(8月25日開催)でソフト対策も含めた取組方針案を審議した。
4地区の対策については、近畿地方整備局が担当機関となる。対象箇所は遠里小野、長吉川辺、太田、国分市場の4地区。このうち遠里小野と国分市場の2地区延長1・3`では流下能力の向上を図ることとし、堤防の嵩上げなどに取り組む。残る2地区延長2・9`については、堤防法面整備などによる侵食・洗掘対策を行う。
完了時期は国分市場が2016年度、他3地区は20年度を想定。国分市場はすでに施工中。他3地区は順次、調査・設計、工事を発注していく。
今回了承された取組方針ではこの他、堤防天端の保護延長1・3`(6カ所)と、堤防裏法尻の補強延長16・8`(大阪市東住吉区〜八尾市、松原市)による危機管理型ハード対策も盛り込まれた。近畿地方整備局で20年度末までの完了を目指す。
ソフト対策は、避難勧告などの発令基準の設定・周知、タイムラインの作成・更新支援、広域避難を考慮したハザードマップの更新・周知、同報系防災行政無線の整備、排水ポンプ車の設置、大規模工場への啓発活動などに取り組む。
会合であいさつに立った国土交通省大和川河川事務所の大呑智正所長は、「決壊箇所によっては大阪城公園にまで浸水被害が及ぶ。施設だけで全てを防ぐことは難しく、社会全体で対応していく必要がある。水防災意識の再構築が大切だ」とし、国、関係機関、沿川自治体・住民も含め、さらなる情報共有を呼び掛けた。
提供:建通新聞社