福島建設工業新聞社
2016/08/30
【福島】イノベーションコースト構想/ロボット2拠点に70億円
経済産業省は、29年度予算概算要求に福島イノベーション・コースト構想関連予算71・8億円を盛り込んだ。南相馬市などに整備する「ロボットテストフィールド・研究開発拠点整備事業」と「共同利用施設(ロボット技術開発等関連)」に合計69・8億円を充て、施設整備に本格着工する。未着手主要プロジェクトの具体化に向けた「実現可能性(FS)調査」には2億円を付ける。今年度予算で69・7億円を計上した施設整備等補助金の「地域復興実用化開発等促進事業」は、金額を明示しない事項要求とした。
国100%補助で県が整備するロボットテストフィールド・研究開発拠点整備事業には、2年度目として25・6億円を要求した。28年度事業費51億円と合わせて、76・6億円で整備する。整備主体の県は現在、設計者とCM業務の委託者選定に向けた公募型プロポーザル手続きを進めている。
同事業は、浜通りにロボット産業の集積を創出するための拠点として計画。今後利用拡大が見込まれる無人航空機(ドローン)、陸上・災害ロボット、水上・水中ロボットの開発を加速する上で、実証試験・性能評価機能を備えた世界に類を見ないテストフィールドとする。南相馬市原町区萱浜地区に主施設、浪江町棚塩地区に離発着試験用滑走路を整備する。29年5月末をめどに土木系施設の基本設計をまとめ、施設整備に着手する。
同様に県が整備主体の共同利用施設(ロボット技術開発等関連)には、28年度の21・7億円に対して約倍増の44・2億円を要求した。S一部RC造2階建て延べ約2560平方bの研究A棟、同平屋約1020平方bの研究B棟、RC造平屋約200平方bの研究C棟のほか、宿泊機能を備えた研修棟を建設する。
研究棟と、S一部RC造2階建て約2900平方bで計画するロボットテストフィールド本館棟を含めて基本・実施設計委託者選定の公募型プロポーザルを手続き中。実施設計納期は29年8月末としている。建設地は南相馬市の同一敷地内。施設整備費は28・29年度2年間で58・2億円を予定している。
同構想の主要プロジェクトに盛り込み、未着手プロジェクトの実現可能性調査には2億円を盛った。28年度予算比倍増。整備方針が未決定のプロジェクトは@複合災害記録・情報発信拠点(アーカイブ施設)A技術者研修拠点B国際産学官共同研究室(放射線研究分野)C大学教育拠点―など。
今年度69・7億円を予算化した地域復興実用化開発等促進事業は、事項要求とした。同事業は浜通り地域を対象に、廃炉、ロボット技術、エネルギー、環境・リサイクル、農林水産業などの分野における実用化開発等に補助するもの。補助率は地元企業、地元企業と連携する地元外企業とも、中小企業3分の2、大企業2分の1。