東京都財務局建築保全部は、2016年度の建築技術革新支援事業として、都立永山高校改築工事に伴う「屋上防水」、多摩障害者スポーツセンター改修工事での「天井設置」、公文書館改築工事の「太陽電池モジュール」の三つの新技術の公募手続きを開始する。民間の最先端技術を取り入れて建物の性能を高めるとともに、技術開発を促すことが狙い。技術提案を10月7日まで受け付け、学識経験者らで構成する技術審査委員会で年内に選定する。選定した新技術をそれぞれの設計に反映させ、工事に採用する。
永山高校(多摩市永山5ノ22)は、既存建物の老朽化への対応として体育館やプールを含めた全ての建物を建て替える。グラウンドに新たな校舎と体育館・武道場を新築して新校舎への機能移転後に既存校舎を取り壊し、跡地にグラウンドを再整備する「反転改築」の手法を採用する。今後、設計の委託先特定に向けたプロポーザル手続きを始め、18年度末までに成果を得る。19〜21年度に新築工事を実施し、22年度に既存建物を解体する計画だ。
事業の実施に先立って、優れた耐久性能を持ち、建物の省エネルギー化につながる外断熱仕様の防水技術を募る。
多摩障害者スポーツセンター(国立市富士見台2ノ1ノ1)では、1984年完成の本館(鉄筋コンクリート造2階建て延べ4997平方b)と、93年完成の宿泊棟(同造地下1階地上2階建て延べ1393平方b)の老朽化や劣化に対応するため、外壁や屋上防水、内装などを改修するとともに、電気や空調設備を更新して省エネ化する。土屋建築研究所(新宿区)で進めている設計作業を17年度末納期でまとめ、18〜19年度に施工する計画だ。
本館にあるプール(25b×5コース)も併せて改修する考えで、新たに設置する天井について、関連技術に適合しつつ、安全で必要な機能を継続的に確保するための技術を公募する。
公文書館は、既存施設の老朽化や竹芝地区の「都市再生ステップアッププロジェクト」での用地活用に伴い、武蔵国分寺公園の西側に位置する中央鉄道学園跡地(国分寺市泉町2ノ102ノ9)の一部に移転新築する。規模は鉄筋コンクリート造4階建て延べ約1万0260平方b。設計は佐藤総合計画(墨田区)の担当。17〜19年度で改築工事を実施する。
反射光や安全性に配慮しながら、年間を通じて優れた発電電力量を確保できる太陽光発電システムを設置するため、太陽電池モジュールに関する技術を公募する。
3件とも12月下旬に選定結果を公表し、設計に反映させる。新技術を採用した工事の完了後、事後調査を行って有効性を確認し、施設整備の基準類へ反映していく。
提供/建通新聞社