宮崎建設通信社
2016/08/24
【宮崎】湛水防除・正蓮寺の新規着手了承 宮崎県公共事業評価委員会
宮崎県が実施する公共事業を評価する「宮崎県公共事業評価委員会」(谷口義信委員長=宮崎大学名誉教授、委員10人)の平成28年度第1回会合が、22日に宮崎県庁で開かれた。会合では、農政水産部が計画する湛水防除事業・正蓮寺地区(宮崎市)の事前評価を行い、委員一同の同意を以て来年度の新規事業化を了承した。
宮崎県の公共事業評価は、事業の必要性と効果について客観的な評価を行うことにより、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施しているもの。事業の実施理由や継続決定のプロセスを透明化するとともに、県民に対する説明責任の向上を図る。
評価の体系は、事業着手前の段階において事業の重要度や投資効果等を評価する「事前評価」、事業着手から一定年数が経過した時点で事業の進捗状況や効果等を把握する「再評価」、事業完了後にその効果や影響等を確認する「事後評価」に分類される。
22日に県庁で開かれた今年度第1回会合では、農政水産部が所管する「湛水防除事業・正蓮寺地区」の事前評価を実施。農村計画課の担当者が計画に至った背景や事業の概要、整備効果などについて説明を行い、委員らが意見を交わした。
対象となる正蓮寺地区は、宮崎県総合運動公園の西側に位置。当該地区の排水に関しては、幹線排水路を流下して、既設の正蓮寺排水樋門と正蓮寺排水機場(4m3/s)、前田樋門と山下排水機場(2.66m3/s)により加江田川に排水されている。
近年はハウス等の施設利用型農業の普及が顕著であり、住宅地の造成など流域の開発が進行しているが、大雨時には加江田川の河川水位が上昇し、当該地区の自然排水が阻害され、湛水位の上昇と湛水面積及び湛水継続時間が増大している。
低位部では毎年のように湛水被害が発生していることから、安心して農業を行うことができる生産基盤の維持や安定した経営基盤の構築、地区内における住宅・家財など住民財産の保護などを目的に、新たな排水機場の整備と既設排水路の改修に取り組む。
計画では、20年に1回程度の確立で発生する大雨被害を想定し、既設の正蓮寺排水機場の隣接地に新たな排水機場1基(5m3/s、φ1650×1台)を整備すると共に、既設排水路の改修(延長990m)も合わせて実施することとした。
全体事業費は12億3700万円、事業期間は平成29年度から34年度までの6箇年を見込む。県では、新たな排水機場の整備と排水路の改修に伴い、当該地区の湛水時間が現在の23時間程度から16時間程度に短縮すると試算している。
説明を聞いた委員からは、排水河川である加江田川が氾濫した際の対応などについて質問が寄せられたほか、「自然環境への配慮として、水路の改修に際して木材等の材料を使用することが望ましいのではないか」などといった意見もあげられた。