地域高規格道路「鴨川・大原道路」早期建設促進期成同盟会(会長・長谷川孝夫鴨川市長)の2016年度総会が18日、千葉市のオークラ千葉ホテルで開催された。総会では15年度事業報告、15年度収支予算、16年度事業計画、16年度収支予算、役員改選の5議案を可決。総会後には長谷川会長から野田勝・県県土整備部長に、早期の計画具体化など求める4項目からなる要望書が手渡された。また、秋には国会議員や国交省、財務省などに要望活動を行う予定。
総会に先立って長谷川会長は「外房地域は高規格道路の空白地域となっており、海岸部を通る国道128号は、観光シーズンや休日等における慢性的な交通渋滞の発生原因となっている。また、過去にはがけ崩れ等により唯一の地域間交通が寸断された。交通の円滑化はもとより、災害時の代替路線の確保が強く求められている」と説明。「鴨川・大原道路は、災害時における国道128号の代替路線として、道路交通網のダブルネットワークの形成と観光地へのアクセス向上など、地域住民の安心安全、地域経済の活性化につながる」として、要望活動を積極的に進める方針を示した。
来賓では県県土整備部の野田勝部長があいさつ。「外房地域では、圏央道にアクセスする長生グリーンライン、国道297号松野イパスをはじめ、国道128号実入バイパスなどについて整備を進めている」と現状を説明。そのうえで「鴨川大原道路は、本地域の豊富な農水産物、魅力的な観光資源など大きなポテンシャルを最大限に発揮することに加え、地域の防災力の向上にも資する大変重要な道路と考えている」とし、「現在、沿道地域の状況などの調査をもとに優先区間の検討を進めている。県としては今後も必要な路線の整備を進めていく」として、出席者に支援と協力を求めた。
総会後には県県土整備部道路計画課の北岡聡課長が「鴨川・大原間の道路整備の状況について」と題する講演を行った。それによると、県はこれまでに交通量調査、地域医療に対する調査、防災に関する調査などを実施。同道路の整備により、観光地での渋滞が緩和され、沿線の観光地へのアクセスが向上し、第3次医療機関である亀田総合病院への搬送時間の短縮が期待されるほか、国道128号の代替路線としてダブルネットワークが確保され災害に強い道路ネットワークが構築されるとの調査結果が報告された。
鴨川・大原道路は、鴨川市といすみ市を結ぶ地域高規格道路で、「茂原・一宮・大原道路」「館山・鴨川道路」とともに3路線で茂原市から館山市までの外房地域を縦貫する幹線道路として計画されている。「茂原・一宮・大原道路」と「館山・鴨川道路」は計画路線に指定されているが、2路線に挟まれた同道路は候補路線にとどまっている。同道路の起点は鴨川市、終点はいすみ市で、総延長は約40q。
要望事項は次の通り。
▽地域高規格道路「鴨川・大原道路」について、調査を推進するとともに、早期に計画を具体化すること
▽鴨川・大原間について、計画的に道路整備が進められるよう、必要な予算の確保を図ること
▽高速道路から南房総・外房地域へのアクセス強化を図るため、国道297号松野バイパス及び横山バイパス、国道128号実入バイパスの一層の事業促進を図ること
▽道路の「ネットワーク整備」と「老朽化対策」を推進するため、道路予算全体を増額し、長期安定的に必要な道路予算を確保すること