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建通新聞社(中部)
2016/08/29

【三重】入契制度改正で余裕期間設定工事を導入 三重県

 三重県は、入札契約制度の改正の一環として、「余裕期間設定工事」を県土整備部発注の案件を対象に先行して試行導入することを決め、試行要領などを公表した。公共工事の施工時期などの平準化に向けた取り組みの一つで、適用方式は「発注者指定方式」、「任意着手方式」の2方式のいずれかを適用する。適用第1号は尾鷲建設事務所が8月15日に公告した橋梁耐震補強工事で、「任意着手方式」を適用した。同制度により、建設資材の調達や労働力の確保に係る時間に余裕ができるとともに、余裕期間中は監理技術者などの配置が不要となることから、入札に応募できる技術者の機会が増え、受注者の円滑な施工体制の整備につながるものと見込んでいる。
 余裕期間設定工事は、契約ごとに、実工期(実際の工期)の30%かつ4カ月を超えない範囲で「余裕期間」(契約締結日から工事着手日の前日までの期間)を決めて、契約する制度。余裕期間中は現場代理人、主任技術者、監理技術者の配置を不要とする。
 余裕期間の設定方式によって、三つの方式があり、三重県は、発注者が工事開始日を指定する「発注者指定方式」、受注者が発注者の指定した範囲内で工事開始日を選択する「任意着手方式」の2方式を採用した。「発注者指定方式」は、例えば出水期を回避するなどの理由で工事の着手時期を前倒しできないケースなどでの適用が見込まれる。国土交通省は、2方式以外に発注者が指定した全体工期の中で受注者が工事開始日と工事完了日を選択する「フレックス方式」も加えて、3方式で制度を運用している。
 余裕期間設定工事は、2月に総務省・国交省の連名で要請があった「施工時期等の平準化に向けた計画的な事業執行」の一つの手法として示されたもので、県が早期の発注・契約を行う手法として導入試行を検討していた。
 試行要領によると、県土整備部が発注する建設工事に限定するものとしているが、試行状況を見て、対象枠を全県の工事に拡大していく考えだ。
 対象工事は、@発注が可能で工事着手時期が特定されている工事A余裕期間の設定により、全体事業計画に影響を及ぼさない工事B年度内(繰り越し手続き済みの場合は当該期間内)に工期を確保できる工事C緊急性がない工事D現場着手前に工場製作期間がない工事―のうちで、発注機関の長が指定する工事とした。議会の議決を要する案件は仮契約から本契約までの期間が当初から設定されているため、対象外とした。
 尾鷲建設事務所が適用第一弾工事として発注した「長島港〈江の浦大橋〉橋梁耐震補強工事〈その2〉」(紀北町長島)は、債務負担行為設定済みで2カ年にわたる工事。予定価格は1億2890万2320円(税込み)。県が提示する工事着手日は12月12日、実工期は285日。開札予定日は9月13日。余裕期間は契約日から工事着手日の前日まで。開札日から契約日までの期間を1週間程度とすると、9月20日ごろから12月11日までが余裕期間となる。受注者が落札決定日の翌日から3日以内に、工事着手日を決めて発注機関に通知することになる。実工期自体の変更はないため、余裕期間を短縮した場合に完成時期が早まることになる。

提供:建通新聞社