阿蘇大橋地区の大規模斜面崩壊現場で8日、斜面頭部で実施する不安定土砂の除去(ラウンディング)に向けて、ヘリコプターで重機を移設する作業が報道陣に公開された。九州地方整備局によると、整備を進めている土留盛土工(上部工)工事が終わり次第、ラウンディングに入る見通しだが具体的な時期は未定となっている。
阿蘇大橋地区の復旧作業は5月5日から、熊谷組が無人化重機施工を開始。雨や霧によって6月までの稼働率は5割以下となっていたが、梅雨が明けて7月・8月の稼働率は上がっているという。土留盛土工は高さが3bあり、ラウンディングした土砂(約1万立方b)を受け止める。上段部分は基礎工を終え、盛土工事に着手している。
ヘリコプターで移設した重機は、ラウンディング時に使用する高所無人掘削マシン(バケット容量0・15立方b×3台、同0・25立方b×1台)。崩壊斜面頭部に計4台配備するため、パーツを分解してヘリで30回往復した。また、地震後から行方不明となっている大和晃さんの捜索に使用する岩石破砕機も車体が発見された黒川の現場へと運んだ。
ラウンディングは重機を斜面頭部に10bピッチで丸太(アンカー)を埋め込み、Vの字でワイヤーを張ってウインチを巻き上げて重機を移動させる「セーフティークライマー工法」で実施。200b離れた場所で遠隔操作する。
土留盛土工からラウンディングまでの無人化重機施工を担当する熊谷組は現在、現場から1`離れた立野病院付近に阿蘇無人化作業所を設置。無人重機は、現場から光ケーブルを700b敷設し、残り300b区間を無線で遠隔操作しているが、タイムラグはないという。重機オペレーターやモニターの監視などに約60人もの人員を配置している。同作業所の長束聖一作業所長は「7月に入り、作業がようやく順調になった。一日も早く国道57号が復旧するように頑張っていきたい」と話した。
九地整熊本地震対策推進室熊本分室の野村真一河川・砂防総括は「ラウンディングの作業に早く着手して、不安定土砂をどれぐらいの期間で除去できるか見通しを立てた上で、JRや道路の復旧時期も示していきたい」と述べた。
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西日本建設新聞社