日本工業経済新聞社(山梨)
2016/08/09
【山梨】地中熱セミナー
県が主催する地中熱利用促進セミナーが5日、甲府市の県庁で開かれた。セミナーでは、県地中熱利用推進協議会の中澤俊也氏が「地中熱交換器の掘削工法と導入事例」について説明。
事例として、甲府市新庁舎(ヒートポンプ能力は暖房63・1kw、冷房22・6kw。ボアホールは50m×7本×3群、21本)、米倉山太陽光発電所PR施設(ヒートポンプ能力10kw×2台。ボアホール100m×2本×2セット)などを挙げた。
施工中で本年度内に完成予定の案件としては@山梨市クリニック(市立産婦人科医院。井水利用、滅菌空調)A大月市立短期大学(図書室。クローズドループ、空調)B峡北広域組合合同庁舎(消防署事務所。井水利用、空調)C境川交流センター(温泉施設。クローズドループ、廃熱回収)―などがある。
さらに、最新鋭ボーリングマシーンのソニックドリルを説明。高速掘削による工期短縮、工程短縮によるコストダウンなどの利点があるとした。
地中熱普及への課題としては、掘削工事の手順の標準化やシステム全体の効率化につながるヒートポンプ開発などを挙げ、今後の目標として、イニシャルコストの回収について、個人住宅は3年から5年、農業利用は5年から8年、商工業施設などは8年から10年を目指すとした。
そのほかセミナーでは、地中熱利用の現状と課題についてNPO法人地中熱利用促進協会の笹田政克理事長が、直接膨張方式空調・給湯用地中熱ヒートポンプ実用化の状況について山梨大学大学院の武田哲明教授が、それぞれ解説した。
県では今後もセミナーや施設ツアーなどを行い、普及促進を図る。