近鉄グループホールディングスの近鉄不動産(大阪市天王寺)が所有するJR金沢駅前の「金沢都ホテル」(金沢市此花町)の再開発計画の行方に期待が高まっている。それは駅の反対側に位置する同市広岡1丁目の市所有地に外資系の「ハイアットセントリック」の進出が決まり、金沢都ホテルも外資系を誘致するのではとの観測が広がっているためで、今後の動向が注目される。
金沢都ホテルはJR金沢駅の真正面に位置し、本館が1962(昭和37)年、金沢で最初の都市型ホテルとして誕生。施設はRC造地下3階地上7階(塔屋3階)建て、新館が地下1階地上8階(塔屋3階)建てで、延べ床面積は全体で3万1984・89平方メートル。客室数は191室で宴会場は最大300人を収容する。敷地面積は4886・28平方メートルで土地所有者は金沢都ホテルと福井銀行、一部賃貸で、再開発計画の推進にあたり、17年3月末までに入居テナントに対し、退去するよう要請している。
7月初旬、金沢市広岡1丁目の市所有地に、オリックスを代表構成員とする事業者が「ハイアットセントリック」を誘致することが決定。客室数250室のホテル棟(15階建て)と、サービスアパートメント・レジデンス棟(17階建て)のツインタワー型となり、2017年夏にも着工し、19年秋までの完成、20年春ごろの開業を目指している。
近鉄グループで「都ホテルズ&リゾーツ」を運営している近鉄・都ホテルズでは現在、東京都港区の「シェラトン都ホテル東京」をはじめ、京都市東山区で「ウェスティン都ホテル京都」、大阪市天王寺区で「シェラトン都ホテル大阪」、同市阿倍野区で「大阪マリオット都ホテル」を展開。同ホテルズでは金沢都ホテルの計画について「いろいろと検討を進めているが、具体的な材料を公表できる段階にはない」(経営企画部)とした上で、外資系ホテルとの見方には「チェーンとしてシェラトン、ウェスティンを展開しており、可能性がないわけでない」(同)という。
これまで半世紀を超える長い歴史と伝統を誇り、金沢駅前のシンボルとなってきた金沢都ホテル。金沢市では北陸新幹線金沢開業を追い風に、20年の外国人宿泊者数の目標を40万人に設定するなどインバウンド需要に対応する方針で、同ホテルの再開発に熱い視線が注がれる。