東京都の小池百合子知事は、8月5日に開いた就任後初の定例会見で、自身の公約の早期政策化に向けて「2020年に向けた実行プラン」を年内に策定すると発表した。「セーフシティー」「ダイバーシティー」「スマートシティー」を実現させ、「新しい東京」を創造することを目的に、都の長期ビジョンの大きな方向性を継承しつつ、都民第一の視点から17〜20年度の4カ年で展開する具体的な政策を盛り込む。
小池知事は、都政運営に当たってのキーワードとして「都民ファースト(第一)」を改めて掲げた上で、喫緊の課題に対応し、具体的な政策展開を示すため、長期ビジョンに基づく現行の実施計画(15〜17年度)の終了を待たずに「2020年に向けた実行プラン」を策定すると説明した。
策定に当たっては「既存の枠組みにとらわれることなく、先進性のある政策を積極的に立案していきたい」と述べ、年内の公表を目指して全庁を挙げて作業を進めていく考えを示した。
「全ての事業に終期を設定―17年度予算の見積方針」
小池知事は、リオオリンピック・パラリンピック競技大会への出張を前に、「新しい東京の未来に向けて改革を推し進める予算」をテーマとする17年度予算の見積もり方針も提示した。
東京の抱える課題の解決に積極果敢に取り組み、未来への成長創出に向けた改革を進めるため、「2020年に向けた実行プラン」の事業を予算化する。また、全ての事業を総点検し、無駄の排除を徹底するなど、都民ファーストの視点から財政構造改革を進める。現段階で終期を設定している事業は都全体で約2割だが、「全ての事業に終期を設定し、期限を迎えるものから事業評価による検証を行う」考えだ。今後設置する都政改革本部での議論を通じて事業の見直しや再構築につなげる。
「都民意識を変え、コスト縮減―無電柱化を推進」
国会議員時代、無電柱化の推進に取り組んできた小池知事は、都内での事業の必要性についても触れた。「大規模地震の発生時、緊急輸送道路の確保が重要になるが、電柱が倒れると機能しない。阪神・淡路大震災の経験者として、景観の観点よりも防災の観点から無電柱化を訴えてきた」と述べた上で、「無電柱化に対する都民の意識を変え、埋設基準の緩和などによるコスト削減を実現することで、まちがきれいになり、付加価値が高まる」と事業の効果を強調した。
提供/建通新聞社