九州地方整備局は、立野ダム建設事業の技術的な確認・評価を行う技術検討委員会(委員長・足立紀尚地域地盤環境研究所理事長)の初会合を7月27日、KKRホテルで開いた。委員会後に会見した足立委員長は「地表地震断層がダム近傍には存在していない。ダムの基礎岩盤に地震の大きな影響は無く、現時点で建設に問題はない」との見解を示した。着工時期については、九地整河川部の永松義敬河川調査官が「現場の状況などを踏まえて判断していきたい」と述べるにとどめた。
委員会はダム構造や活断層、地質などの有識者7人で構成。地震後の白川流域の状況や、断層・基礎岩盤の状況調査検討に関する情報を九地整が示した。断層は瀬田断層や布田川断層、北向山断層などを調査。北向山断層はダムから500b付近の断層路頭を通過しているが、地形調査、地表地質踏査など総合的に勘案し、ダム敷や近傍への方向性はないと説明した。現計画で地震に十分耐える設計だという。
建設予定地の基礎岩盤については、右岸・左岸側で横坑を調査(L1、L3・4、R1〜3)。壁の一部で小規模な岩片の抜け落ちが確認されたが、基礎岩盤として問題となるような変状は無く、ボーリング調査とボアホール調査でも変状は確認されなかった。足立委員長は「確認のため再度現地調査したい」と話した。
委員会はあと2回予定。次回、現地調査し、3回目にダム機能の維持(湛水予定地周辺斜面の状況等の調査・検討)技術や評価を実施するとしたが、開催時期は示さなかった。
立野ダム建設事業には平成28年度、本体建設工事費38億2200万円を予算化しているが、熊本地震発生後、発注時期は未定のままとなっている。
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西日本建設新聞社