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建設新聞社
2016/08/02

【東北・秋田】台形CSGダムに変更へ/雄物川水系河川整備学識者懇談会 成瀬ダムの建設

 東北地方整備局は1日、第10回雄物川水系河川整備学識者懇談会を秋田市役所で開催した。成瀬ダムの形式をロックフィルから台形CSGダムに変更することが会合の主題で、今後、パブリックコメントなどを経て計画を変更する。
 同懇談会は、学識経験者などを委員に2008年に設立したもので、雄物川水系河川整備計画(大臣管理区間)の変更原案および事業の進捗状況についての意見聴取や、再評価の審議を目的としている。
 今回の議題は▽雄物川水系河川整備計画(大臣管理区間)の変更内容について▽住民からの意見募集について▽今後のスケジュール(案)について―。成瀬ダムの諸元変更による見直しのほか、超過洪水への対応・対策の追加・修正が主なテーマだった。
 成瀬ダムは雄物川水系成瀬川に建設される多目的ダムで、ロックフィルダムとして計画してきたが、新たな技術である台形CSGダムを採用することで、合理化施工やコスト縮減が図られるとともに、自然環境への影響低減が可能となる。
 現計画では堤高113・5b、堤頂長690b、堤体積1195万8000立方bだが、計画変更後は、堤高114・5b、堤頂長778・5b、堤体積476万立方bになる。堤体積は現計画に比べ約4割に抑えることができる。総貯水容量は7850万立方bで変更はない。
 台形CSGダムは、砂礫をセメントで固めて建造する。設計に適合した良好な材料の確保が必要な従来のダムに対して、台形CSGダムは、手近に確保できる材料の工学的特性を調査した上で、材料に応じた堤体を設計して建設するのが特徴で、このため掘削量を低減できる。成瀬ダムについては、これまで現地材料の適合性の調査を進めてきた。
 形式の変更により、従来計画では貯水池内の堤体左岸と貯水池外に計2カ所必要だった原石山のうち、貯水池外の原石山と工事用道路約2・7`bが不要になり、自然環境への影響が軽減される。また、ロックフィルダムでは洪水吐と取水塔を堤体と別途に整備する必要があるが、台形CSGダムではこれらを堤体と一体的に整備でき、コストの縮減を図ることができる。
 具体的なコストの縮減幅は精査中。また、ダム本体の工事期間は現計画に比べ短くなる見通しだが、付け替え道路の工期などとの関連から事業工期は変わらず、2024年度までの完成を予定している。
 会に出席した佐々木哲男東成瀬村村長は「原石山の確保による環境への影響が地元の懸念だったので、原石山が1カ所になったのは喜ばしい」と発言した。
 パブリックコメントは9月から10月に行う予定。その後、河川整備計画の変更原案をまとめ、来年1月をめどに開催予定の次回の同懇談会での協議や関係機関からの意見を受け、河川整備計画を変更する。

 提供:建設新聞社