国土交通省四国地方整備局、高知県、西日本高速道路と県内市町村で構成する高知県道路メンテナンス会議(会長・福本充土佐国道事務所長)は7月25日、本年度2回目の会合を開いた。会では、2015年度に実施した橋梁、トンネルなどを点検した結果、6橋梁と1トンネルが、緊急措置段階である「判定区分W」と診断されたとの報告があった。
判定区分Wと診断された施設は、柚ノ木橋(土佐町)、さけ岩谷橋(香美市)、港橋(室戸市)、王迎橋、橘橋、拳ノ川橋(以上黒潮町)、高研隧道(梼原町)。王迎橋は2d以下の車両のみ通行可とする規制中で、そのほかの施設は通行止めとなっている。今後は管理する市町が恒久対策を検討し、措置方針を決定する。
柚ノ木橋は、1971年に建設された橋長198bのつり橋。県道本川大杉線と県道大川土佐線をつなぎ、吉野川に架けられている。主索の一部で腐食と破断が確認された。今後は架け替えも視野に検討される。
さけ岩谷橋は、橋長6bの単純床版橋。建設年は不明。物部町別役の国道195号崎岩トンネル西側から旧道方面に入った場所にある。主桁下面に剥離鉄筋露出が見られ、一部は破断している。下部工には抜け落ちによる空洞も見られている。今後は架け替えも視野に検討される。
港橋は、71年に建設された橋長39bの2径間単純H形鋼橋。室津川の最下流に架けられている。主桁・横桁・支承といった鋼部材の損傷が著しく、第三者被害が発生する可能性がある。港橋の少し上流側にある両栄橋が14年度の点検で判定区分Wと診断され、架け替えられる方針であることから、港橋については撤去を視野に入れ今後検討される。
王迎橋は、33年に建設された橋長36・6bの3径間RC橋。蜷川に架けられており、国道56号のと土佐くろしお鉄道の中間にある。各径間の主桁損傷が著しく、今後は修繕を視野に検討される。
橘橋は、33年に建設された橋長23・1bの2径間RC橋。拳ノ川橋は35年に建設された橋長22・1bの2径間RC橋。両橋梁は同じ河川に架けられ近接しており、橘橋は国道56号の東側、拳ノ川橋は西側にある。両橋梁とも、主桁の損傷が著しいため、今後は修繕を視野に検討される。
高研隧道は28年に建設。高知〜愛媛県境にある国道197号高研山トンネルの旧道に当たる。緊急に対策を講じる必要がある剥落懸念箇所が多数確認されたほか、一部で漏水やコルゲートの継ぎ目から多数のシミや滴水も確認、路面全体に轍掘れ、滞土砂もあった。今後は愛媛県側と対策を協議・検討する。
15年度は県全体で2274の道路橋、74のトンネル、7の道路付属物などで点検が行われた。このうち早期に措置を講ずべき状態である判定区分Vと診断されたのは、道路橋が347、トンネルが11、道路付属物などが2。18年度までに全ての施設で点検が行われる。
判定区分Vとされた多くの施設では、今後修繕などの措置が必要とされているが、意見交換では各市町村からは予算や職員の確保といった課題が多く挙げられた。これに対し、四国地方整備局の原田康道路保全企画官は「的確な老朽化対策の推進を訴えている。100%とはならないかもしれないが、引き続き重点配分していきたい」と予算面での理解を求めた。マンパワー不足については、高知県の森田徹雄道路課長が「建設技術公社と協議しながら進めたい」と述べた。
提供:建通新聞社