大阪府咲洲庁舎の長周期地震動対策に向けた動きが具体化してきた。15日に開かれた第3回専門家会合で、想定される最大クラスの南海トラフ巨大地震が発生しても、同庁舎の建物は倒壊しないと結論付けた。ただ、国土交通省が6月に公表した、超高層建築物に関する新基準の要求性能を満たすため、今後対策工事を実施する考えだ。工法については制震ダンパーの追加などを想定しているが、詳しくは8月に開催する次回の専門家会合(最終回)で詰める。
専門家会合ではこれまで、咲洲地区における地震動の作成や、同庁舎の地震応答解析などを行ってきた。最大クラスの南海トラフ巨大地震に対する魚骨モデルを用いた地震応答解析の結果、庁舎の最上階では片側最大2〜2・5bほど揺れる可能性があるが、建物自体は倒壊しないことを確認した。
咲洲庁舎は、55階建て(高さ256b)の超高層建築物。2011年の東日本大震災の際には、約360カ所の損傷が発生。府はその後、建物の剛性・耐力を付加する鋼材系ダンパーを152台、揺れ幅と揺れの継続を低減するオイルダンパーを140台設置した。今後の対策工法としては、制震ダンパーの追加、免震構造、減築、制震用ダンパー(TMD)の設置などを想定。次回の会合で、これらの工法について、効果・コストなどについて整理し、8月中に決定する考えだ。
専門家会合は、井上一朗京都大学名誉教授・日本建築総合試験所副理事長試験研究センター長ら、8人で構成。事務補助は、日建設計(大阪市中央区)と一般財団法人地域地盤環境研究所(大阪市中央区)が担当。
提供:建通新聞社