長崎県道路メンテナンス会議で報告 2016年度第1回長崎県道路メンテナンス会議(会長・垣原清次長崎河川国道事務所長)が14日に開かれ、国・県・21市町・NEXCOや道路公社など道路管理者の代表が県農協会館に参集。この中で、15年度に点検を実施した県内1595橋のうち、13の橋梁が判定区分W(緊急に措置を講ずべき状態)だったことが報告された。
会の冒頭、垣原会長は「高度経済成長期に多くの道路構造物が造られ、老朽化に伴って安全の確保が喫緊の課題となっている」と話し、5年に一度の近接目視点検3年目に突入した今年度までの経緯を述べた。その上で、「道路管理者の皆さんそれぞれに予算・人材・技術力の不足等、多くの課題を抱えている。この会で、課題解決に向けた情報共有を図りたい」と会議の目的を語った。
会議では15年度の点検結果や16年度以降の点検計画などについて報告。5年で全ての道路構造物点検を一巡させるという国交省令を踏まえ、点検2年目となった15年度は、橋梁1595橋、トンネル19本、道路附属物76カ所を点検。このうち、橋梁では13橋が判定区分Wとなり、通行止め等の緊急措置を講じている。管理者別では、佐世保市5橋、対馬市6橋、南島原市1橋、新上五島町1橋(表参照)。杉本和孝佐世保市土木部長は、「本市では、全橋の遠方目視点検を完了させた上で、老朽化が懸念される橋梁から近接目視点検を実施している。そのために今回、区分Wが5橋確認され、早期の対応につなげられる」と話した。なお、判定区分V(早期に措置を講ずべき状態)と診断された橋梁は県下で170橋だった。
トンネルを見ると、19本のうち判定区分Wはゼロ。Vは4本という結果。道路附属物等でもWはゼロ、Vが1カ所だった。16年度の計画では、橋梁2505橋、トンネル28本、道路附属物51カ所の点検を予定。橋梁のうち532橋(平戸市など12市町管理分)はNERCが一括発注。19日、一般競争で公告した。
ロッキング橋脚は補強・撤去を ―熊本地震 また、会議では熊本地震での被害状況から、注意すべき橋梁構造についても説明。熊本県内の高速道路を跨ぐ跨道橋において、被災した4橋のうち、落橋および橋脚傾斜した2橋がロッキング橋脚だったことを報告した。落橋した府領第一橋(橋長約60b)は、高速道を完全にふさぐ形となったようすが震災直後に多く報道。ロッキング橋脚は上下端がヒンジ構造の複数の柱で構成され、単独では自立せず、水平方向の上部構造慣性力を支持することができない。地震に対する脆さが実証されてしまった形だ。
九州地方整備局の担当者は、「同様の構造は大地震時に落橋する可能性がある」として、適切な補強(RC巻き立てにより完全自立型へ)または撤去といった対策優先実施を管理者らに呼び掛けた。