日本工業経済新聞社(群馬)
2016/07/22
【群馬】長野堰頭首工で大規模改修工事実施
県西部農業事務所農村整備課は本年度、高崎市本郷にある長野堰頭首工で大規模な改修工事を行う。土砂吐エプロン部と護床工部の補修などを予定する。2015年度から実施設計に着手していて、工事は来年度までの2カ年で計画する。総事業費は1億1200万円を見込む。8月末に指名通知し、工事発注する見通しだ。
高崎市本郷の烏川左岸側に設置されている頭首工。延長48・5mで、ゲート付近の幅員は19・2m。土砂吐エプロン部は1024u。1973年に建設、1983年に増設されてから大規模な改修工事は初めて。
本年度実施する工事は、土砂吐エプロン部と護床工部の補修工事。土砂吐エプロン部では、磨耗や衝撃に強い厚さ200oの高強度コンクリートで補修する。施工面積は513u。護床工部では、4t型ブロックを70個新設する。全体では110個を整備する計画で、新設以外は既設の護床ブロックを再利用する方針だ。
工事は、右岸側から大型車両が入れるように仮設道路を整備するところから始める。大型の土のうを積んで河道を安定させ、φ1000oのヒューム管を設置して川の流れを確保する。
来年度は、磨耗の少ない場所を補修する。厚さ20oのポリマーセメントで表面被覆工事を行う計画だ。施工面積は511u。工事は左岸側から実施する。
鋼製のゲートは改修工事が完了しているため、今のところ工事の計画はない。
実施設計は昨年度、藤和航測(前橋市)が担当した。
同頭首工は設置より40年以上が経過し、越流や河川を流れる石によって、土砂吐エプロン部のコンクリートが磨耗、損傷している。最大磨耗深度は660o。護床工部では河床洗掘により沈下が見られ、護床ブロックが流出している。放置すると魚道の倒壊や堰柱、ゲートなどの堰本体に致命的な損傷を起こす可能性がある。農業用水の安定的な供給を維持するためには早期改修が望まれる。
長野堰用水はこのほど、「世界かんがい施設遺産」の候補に選ばれている。