国土交通省四国地方整備局は、国の庁舎では初の「CLT」を本格活用した庁舎整備に取り組む。高知県に所在する「嶺北森林管理署」建て替え事業で、CLTを建物の構造部材の全部または一部に活用することを前提にした「嶺北森林管理署設計業務」の手続きを開始した。
同建て替え事業は林野庁で予算化し国土交通省に支出委任して発注する。本年度設計を進め、早ければ2017年度の工事発注を目指す。
CLTは直交集成板の略称で、ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するよう積層接着し3層以上の構造を持たせた重厚パネル。国土交通省では今年3月31日と4月1日にCLTを用いた建築物の一般的な設計手法などに関して建築基準法に基づく告示を公布、施行した。
告示に基づく構造計算などを行うことで、これまでの大臣認定を個別に受けなくても建築確認により建築が可能になる。また告示に基づく仕様とすることで準耐火構造で建築が可能な3階建て以下の建築物でも、防火被覆なしでCLT等を活用できる。
林野庁では新たな木材需要の創出が期待されるCLTの活用促進に取り組んでおり、国土交通省が同庁の要望を受け、嶺北森林管理署の建て替えに発注段階から本格的に取り入れることにした。部分的にCLTを活用する事例はこれまでもあったが、建物の構造部材の全部、あるいは一部に活用することを前提にした庁舎整備は全国初。
嶺北森林管理署設計業務は簡易公募型プロポーザル方式で発注。7月28日まで参加表明書の受け付けを締め切り、技術提案書の提出期限は9月1日。参加資格は単体企業か設計共同体。同種、類似業務の実績など。内容は庁舎新築の基本・実施設計や数量積算等。設計期間は17年3月24日。
同署建て替えは敷地1649平方b内の現在の庁舎を使いながら、新たに木造2階建て延べ527平方bの庁舎、木造平屋66平方bの車庫や木造平屋4平方bの自転車置き場を新築する。本年度に敷地調査と設計、17年度以降に新庁舎整備を進める。
簡易プロポでは仮庁舎を建設しない施工方法も提案に求める。場所は高知県本山町850。
提供:建通新聞社