高知市は、桂浜公園の整備計画案をまとめ、11日の市議会経済文教委員会で報告した。基本構想で定めた六つのエリアごとに具体的な整備方針を示し、エントランスエリアでの賑わい施設建設に向けた計画については、分棟案が望ましいと説明した。委員会やきょう15日から開始するパブリックコメントで出された意見などを踏まえ、10月中旬に基本計画を策定する予定。その後、実施計画を経て、早い事業では2017年度から基本設計に着手する。
基本計画案では、基本構想に引き続き公園全体を六つのエリアに分け、それぞれに具体的な整備内容が示されている。このうち、公園の導入部にあたり、駐車場と商業施設からなるエントランスエリアに建設を計画している「賑わい施設」については、1日当たり5000人の入込客数に対応可能な規模とし、延べ3200〜4900平方bを想定。施設配置は、基本構想で出された合築案のほか、分棟案、合築と分棟を折衷した案で比較検討し、分棟案が望ましいとした。具体的には今後の実施計画の中で詰めていく。また整備手法については、公設公営、公設民営、民設民営の中から採用する。整備スケジュールについては、公設公営と民設民営の場合は、17年度に基本・実施設計、18〜19年度に建設工事、公設民営の場合は17年度に基本設計、18年度に実施設計、19年度から建設工事という案が示された。
このほかのエリアでは、坂本龍馬像を中心とする「龍馬をしのぶエリア」でサイン整備、段差解消、園路こう配の抑制、手すり設置、賑わい施設との連絡などバリアフリー化の推進など。東浜と竜王岬、桂浜水族館がある「自然海浜景観エリア」では、木陰にテーブルベンチの設置、駐車場から東浜への回遊動線、多機能トイレを本浜に設置など。龍馬記念館周辺の「龍馬を学ぶエリア」では、園路補修、こう配の抑制、手すり設置、樹木の適切な剪定(せんてい)による眺望などの確保。公園西側の山の部分となる「自然・歴史散策エリア」では、園路舗装、樹木剪定、手すり・照明・案内サインの設置、灯台付近に多目的広場の整備。浦戸地区とその周辺で構成する「コミュニティ連携エリア」では、周遊ルートの設定などの整備方針が出された。
このうち、龍馬をしのぶエリアと自然・海浜景観エリアについては、17年度に基本設計、同度内に実施設計、18年度中に建設工事に着手し、19年度中の完成を目指す。自然・歴史散策エリアは17年度中に基本設計を始める予定で、20年度末の完成を目指す。コミュニティ連携エリアは、18年度中に計画と設計に取り掛かり、19年度中に工事着手する予定。
なお、概算事業費はエントランスエリアで約38億円、その他のエリアを合わせて6億円の合計44億円と想定。エントランスエリアのうち、収益の出る施設は民間負担による整備の可能性があり、その場合の費用は20億円程度としている。
高知を代表する観光地である桂浜公園では、各施設の老朽化が進んでいるほか、団体から個人への旅行形態変化から入込客数の減少が課題となっている。そのため桂浜の魅力を向上し、「年間100万人以上の入込客数を維持すること」を成果目標とする基本計画を策定、公園全体を活性化させる。
基本計画の策定は、環境デザイン研究所(東京都港区)が担当。
提供:建通新聞社