国土交通省四国地方整備局と徳島県は、長安口ダムにおける長期的な堆砂対策や県管理区間の堤防整備の位置付けなどを盛り込んだ「那賀川水系河川整備計画」の変更原案をまとめた。長安口ダムの長期的な堆砂対策では、3月の同ダム貯水池機能保全技術会議で了承された流入土砂を貯砂ダムで補足し、ベルトコンベヤーを使って掘削排除する対策が記載されている。変更原案は「那賀川水系河川整備計画ウェブサイト」で公開するほか、8月12日まで国交省や県、関係市町などで閲覧に対応するなど、パブリックコメントの手続きに入った。今後、広く県民の意見を反映させ変更案を作成する考えだ。
四国地方整備局と県は、昨年12月の第7回那賀川学識者会議で同年2月に変更した河川整備計画の点検結果の報告を行い、会議における意見も踏まえ、河川整備計画を見直すことにした。主な変更内容は@長安口ダムにおける長期的な堆砂対策A県管理区間の堤防整備の位置付けB堤防の浸透対策C施設の能力を上回る洪水などへの対応D洪水調節機能や利水機能の向上に向けた調査・研究の追加−の5点となっている。
@では、貯砂ダムの適用性について、既設の追立ダム(堤高29・5b、堤堤長79・2b)を貯砂ダムとして単独で利用する案が現実的とし、この追立ダムの貯砂ダム対策と長安口ダム貯水池掘削・浚渫、ベルトコンベヤー運搬、長安口ダム下流河道への置土を図るため、その具体的な実施内容を盛り込んだ。
Aでは、2014年の台風11号洪水で浸水被害のあった県管理区間の大井地区、阿井地区、相生地区の洪水対策(輪中堤・嵩上げなど)を新たに記載。Bでは、14年の台風11号洪水での漏水発生箇所と15年9月の関東・東北豪雨による鬼怒川などでの知見を反映した堤防調査で安全度が低いと判断された箇所を「対策必要区間」として再設定。
Cでは、今後水災害がさらに頻発化・局地化・激甚化する懸念から、施設能力を上回る外力に対して、ハード・ソフト両面から浸水被害の軽減と危機管理の対応を図ることを新たに記載。Dでは、これら災害発生の懸念や渇水による利水への影響を踏まえ、洪水調節機能や利水機能の向上に向けた調査・研究を新たに記載している。
パブリックコメントによる意見聴取は、国交省那賀川河川事務所で郵送、ファクスで受け付けるほか、那賀川水系河川整備計画ウェブサイトでも8月12日まで受け付けている。
提供:建通新聞社