近畿地区で完成工事高3億円未満の地場中小企業層の15%以上(6社に1社)が債務超過になっていることが分かった。西日本建設業保証が近畿6府県の保証実績企業の経営状況をまとめたもので、全体では11・4%の企業が債務超過で中小企業になるほど該当企業割合が増す傾向にあった。
経営状況は過去10年間(2006〜15年度)の推移を分析。債務超過は11年度をピークに緩やかな減少傾向にあるものの、全体に占める超過企業の割合は10年前の約3割増しの状況(構成比=06年度8・7%→15年度11・4%)となっている。
規模別にみる債務超過企業の構成比は、完成工事高30億円以上の企業が1・1%(176社中2社)、同10億〜30億円が0・8%(502社中4社)、同5億〜10億円が1・8%(845社中15社)、同3億〜5億円が3・1%(955社中30社)、同3億円未満が15・7%(5243社中828社)の内訳。
府県別では、6府県中在阪企業の該当割合が12・5%と最多。また、大阪、兵庫、滋賀では、完成工事高3億円未満の18%が債務超過の状態で、小規模企業の脆弱(ぜいじゃく)さが目立った。
同社では、「債務超過に陥っている企業の割合は依然、過去のピークに近い。建設業の倒産件数は底を打ち、前年同期を上回る月が出始めている」とし、引き続き、経営改善を進めていく必要があると呼び掛けている。
債務超過は自己資本比率がマイナスであることを意味し、企業の信用力を図る重要な目安ともされる。
同社大阪支店の宮城正副支店長は、「近年までの過当競争で建設産業は疲弊してきた。近畿の建設企業の収益性は回復基調にあるが、経営回復にはなお時間を要する」とした上で、建設産業の再生について「キャッシュ・フロー経営は、近年重視されている経営手法。公共工事においては支払い条件を改善する必要があり、特に入札契約制度については府県による市町村への説明、指導が重要」と話す。このほか、前払金の使途拡大について、「実施する自治体は国土交通省の約款に準拠したものに改正する必要がある」との考えを示した。
※近畿地区の債務超過状況の表は建通新聞電子版に掲載中。
提供:建通新聞社