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日本工業経済新聞社(埼玉)
2016/07/13

【埼玉】埼玉建築設計監理協会・田中会長インタビュー

 埼玉建築設計監理協会の会長に就任した田中芳樹氏。協会も今年で45周年を迎え、関連行事で実行委員長を務めた。「自分という座標、設監協という座標をしっかり持ち、多方面でコラボレーションできれば。まずは相談される団体になり、仕事をつくりだす仕組みを考えたい。会員企業は横断的に知識を持っていますから、建築家からプロジェクトマネジャーとして活躍する時代にきている」と話す。
 まずは建築家を育成するために毎年開催している卒業設計コンクールのバージョンアップを図る。「上田清司県知事が視察に訪れ、展示作品を見にきていただいていますが、学生育成奨励の観点で県知事賞を設けていただけないかと思っています。大きな励みにもなり、将来は建築の専門家と学生たちによる新しい形でのまちづくりがスタートするかもしれない」と可能性を最大限に引き出したい考え。また「協会が立ち上げた既存建物耐震判定が6500棟を越え、大きな成果を上げています。さらに安心・安全のための防災対策として緊急輸送道路沿道耐震化にも対応していく」とニーズに応えていく。
 多方面に情報を発信するためにも特別委員会に都市問題委員会を設けた。今何が求められているのか、何をしたらいいのか。起こすべきムーブメントを探る。官・学・民による都市計画の提案、協働による開発計画の提案を目指す。
 人が集まる都市をどう見詰めていくか。持続可能なまちとして環境や維持管理も考慮したコンパクトで高性能な都市をつくる必要性は益々高まる。木造住宅密集地域整備、共同住宅リニューアルなど、甦りの需要も高く建築家の活躍が求められる。「できるプロデューサーはいくらでもいるが、単なる都市政策の置き換えではなく、感情の入った都市が必要なわけですから、もう一度建築家が中心になってやるべきです」とキッパリ。
 「海外では自分の家に帰るという言い方はせず、自分のまちに帰るという表現を使う。その感覚が重要」。まち全体が調和良く描かれ、開発が行われるため住宅価格も下がらない。
 新たな入札制度の提案・研究も進める。デザインビルドではその舞台は大手の活躍の場となっている。「大手とのJV結成での協会員活用や、計画当初から自ら関わり育ててきた人たちが完成させていくPPPの研究なども進めていく。社会の緊急を要するニーズにも的確に動きたい」と、少子・高齢化では都市型の保育園・老人施設の提案にも目を向ける。
 仕事をする上でも、生きる上でも大切なのが胆力−と言う。「若者へは敢えてフライングしろ」の言葉を贈る。「若者が冒険しなければ世の中は変わらない。勉強ができるだけでは意味がない。社会に出てどう働くか。そのための準備としてどう学ぶかが大事」。