6日に金沢市役所で開かれた金沢美大移転整備基本構想検討懇話会(座長/水野一郎金沢工業大学教授)。市側は移転候補地とする同市小立野2丁目の金沢大学工学部跡地8万4000平方メートル(8・4ヘクタール)について、県とどう分割するかはまだ調整中として明らかにしなかった。取得面積次第では、基本構想づくりのもととなる大学の新キャンパス構想を見直すことにもなりかねず、今後は県との敷地分割も焦点の一つになりそうだ。
移転候補地の金大工学部跡地は、県も県立図書館を移転させる方針を示し、市と共同で取得することが公表されている。敷地8・4ヘクタールの配分割合についてはまだ明らかにされていないが、一部からは県と市で「折半」との声も上がっている。
小立野5丁目にある美大の現キャンパスは、総敷地面積5万4840平方メートルで、うち斜面などを除く有効面積は約4万4000平方メートル。仮に工学部跡地を単純に折半した場合は、4万2000平方メートルとなり、敷地いっぱいを活用しても現状より2000平方メートル縮小することになる。また、同地域は高さ15メートルまでの制限があり、建物を上に伸ばすこともできない。
懇話会の意見交換では、美大の前田昌彦学長が現在の老朽化と手狭の解消に向けたキャンパス拡充を前提に、パブリックスペースや展示美術館、大学院研究棟などの新設を希望した。その一方で、金沢経済同友会副代表幹事の福光松太郎氏は敷地の半分ではキャンパスが収まらないと指摘。街なかのアート施設へのキャンパス分散や、県立図書館を大学との共有施設にすることを提案した。
水野座長はこれを受け、市側に県との敷地の協議状況をただしたが、市側は「調整中」と説明。その上で、基本構想では建物の大きさとかではなく、新キャンパスの理念や姿勢をまとめていくことを委員と確認した。
市の担当者への取材で、美大の新キャンパス構想は敷地全体を想定してつくられたものであることが分かった。前田学長は懇談会後、面積次第ではプランの再考もあることを示唆した。県と市の早急な協議が待たれている。