香川県が公募を行ってきた高松港香西(西)地区公有水面埋め立て地に、タダノ(高松市新田町甲34)の分譲が決まり、5日、県庁内で土地売買契約書等調印式が行われた。調印式にはタダノの多田野宏一社長、浜田恵造香川県知事と大西秀人高松市長らが出席。タダノと県との間で土地売買契約書の締結。タダノ、県と高松市の3者の間で工場等の建設等に関する協定の調印式が行われた。土地売買契約は仮契約として9月県議会に財産処分案を提案し議決を得た後に10月中旬にタダノと正式契約を結ぶ。
タダノに売却する分譲地は高松市香西北町747ノ35ほか3筆の2区画(写真)で、実測面積と売却価格は▽区画番号@(高松市香西北町747ノ41)―9万8826・38平方b、売却価格12億0568万1836円▽区画番号A(高松市香西北町747ノ35ほか2筆)―9万8826・77平方b、12億3533万4625円。2区画合わせた面積は19万7653・15平b、売却価格24億4101万6461円。
タダノの事業計画によると、約20fの敷地に、ことし11月から2018年7月までを第1期工事として投資額約175億円を投入し、組み立て・塗装・取引先の各工場や事務所棟など、鉄骨造平屋総延べ約4万2000平方b(事務所棟は2〜3階建て)の建設用大型クレーンの生産のための工場施設を建設する。
省人化、生産効率の高い工場を目指しつつ雇用人数は当初約50人からスタートし最終志度工場並み(約600人)まで必要としているが、志度工場との分担も視野に入れており現段階では未定。18年11月ごろの稼働を目指す。第1期工事以降は数年かけて拡張し、最終的に生産能力が2倍となるよう、約6万平方bまで拡張する。
第1期工事の工場施設の基本設計は森勝一建築事務所(高松市)と山下設計(関西支社・大阪市中央区)との設計共同体で進めており、実施設計は未契約。ことし11月から同社で液状化対策工事などの地盤改良工事に着手し、同時に実施設計を年内から17年1月の完了を目標に進め、17年1月以降に工場建設の施工者を決定する考えだ。
新工場の名称は仮称・香西工場。同工場の建設により国内4工場、海外4工場(ドイツ、中国北京、アメリカ、タイ)に次ぐ9工場目となる。
高松港香西(西)地区は埋め立て地35・6f。県は15年度から同埋め立て地分譲の公募を開始しタダノ1社のみが応募していた。多田野社長は同社が海外売上比率を80%、抗重力・空間作業機械(LE)で世界bPを目指す目標に触れつつ、「志度工場の生産能力では100%を超え限界に近い。事業拡大には新たな工場建設が必要」と述べた。その上で「建設用クレーンの大型化で海側の埋立地が好立地。約60社ある協力工場が県内に立地しており、物流面でも適地」と、同地に分譲を決めた理由を挙げた。
志度工場(約20f)ではラフテレーンクレーンを中心に月産200台を生産。大型化しており生産能力に限界があるため同工場は国内向け、新工場ではラフテレーンクレーンの海外輸出向けの生産のほか、ドイツ工場向けのブーム、シリンダー部品の供給の役割を持たせる。
また、中国工場で生産するトラッククレーンを同国内向けとし、中国国外向けエリアのトラッククレーンを新工場で生産する。
調印式で浜田知事は「成長する香川の産業基盤を強化し本県経済や高松市の地域経済の活性化で当該埋め立て地に立地が実現したことは心強い」。大西高松市長も「内発的な経済活性化は喜ばしい」として、地元高松市としても「最大限協力する」と述べた。
提供:建通新聞社