東京都建設局は、建設業界の若手技術者・技能者の確保・育成を目的に「建設業の魅力発信モデル工事」の試行を始める。建設業の“最前線”である現場から魅力を発信するよう、受注者の提案に沿って小中学生、高校生、大学生向けに現場見学会を開く。見学者へのアンケート調査も実施し、その結果を次の取り組みに反映していく考えだ。7月中にも対象案件を絞り込み、モデル工事の試行対象であることを明記して順次発注する。
都では、将来にわたって社会資本を安定的に整備・維持管理していくためには、中長期的な観点で公共工事の担い手を確保していくことが不可欠と判断。入札に参加しやすい環境づくりを進めるとともに、「若手技術者育成」「週休2日制確保」「女性活躍推進」といったモデル工事の試行を開始している。
こうした取り組みの一環として、公共工事の効果と必要性を広く周知しつつ建設業の魅力をPRし、若者の入職を促すことを目的に、受注者が建設現場で建設業の魅力を発信するための現場見学会を提案開催する「建設業の魅力発信モデル工事」を試行する。
試行に当たっては、特記仕様書と起工書にモデル工事であることを明記し、発注(案件公表)時にも備考欄などに試行対象であることを記載する。
現場見学会は工期内に1回開くことを基本とし、時間は1時間半程度に設定する。対象は小中学生、高校生、大学生とし、受注者は発注者と調整しながら現場見学会の開催時期、内容、規模(参加人数)などを提案。現場見学会の実施計画書を作成して監督員に提出する。これに基づき、発注者が見学対象の学校関係者と調整する。
見学会に必要な資料は受注者が作成し、見学者の保険契約や、ヘルメットの貸与など安全対策も講じる。現場見学に必要な費用は、イメージアップ経費として発注者が負担する。
見学会の実施後、受注者が見学者に対してアンケート調査を実施し、その結果を発注者に提出する。
工事の完了後、都が工事成績評定の「社会的貢献」の項目で加点対象として評価する。
7月中に試行対象工事を絞り込み、順次、発注手続きを進めていく。
既に施工中の案件で受注者からモデル工事を実施したいとの協議があった場合、技術管理課と協議した上で実施できるようにする。
建設局では、16年度に実施するモデル工事の実態やアンケート結果を基に課題などを検証し、17年度以降の取り組み拡大につなげていく考えだ。
提供/建通新聞社