北海道建設新聞社
2016/07/08
【北海道】ミャンマーから道内建設会社初の実習生−空調などの施工技術学ぶ
ヤブシタ(本社・札幌)は、ミャンマー人の外国人技能実習生3人の受け入れを始めた。「日本の技術を同国の発展に」と、3年にわたり日本の空調関連の施工技能を伝える。経済的な結び付きを強める東南アジアと日本や北海道の企業をつなぐ、中核人材に成長してほしいとの期待を込め、日々熱のこもった指導を展開している。
技能実習制度に基づき3人を送り出す東京中小企業海外業務開発促進協同組合によると、ミャンマー人が道内の建設会社で実習するのは初という。
実習生はチョウチョウさん(33)、ダンセンさん(26)、サンリンさん(25)の3人。4月から3年間、家庭用やビル・店舗用の空調エアコン、冷蔵・冷凍機器や太陽光発電関連の施工技術を学ぶ。
高い水準の技能を身に付け、将来の成功を勝ち取ろうという期待は大きい。「日本は技術でトップ」と話すチョウチョウさんは、現場文化の施工前準備「段取り」に感銘を覚えた。
東南アジア諸国で勤務経験のあるダンセンさんは「世界に通用する日本の技術は本国の成功につながる」と期待。サンリンさんは「社員に家族のような団結心がある」と、社風にも感心した様子だ。
ことしは日本語や文化を学びながら家庭用エアコンを中心に、現場実習や社内研修を繰り返す。辻雅彦冷熱システム事業部営業部工事課担当課長は「一人で施工を完結できるレベルを目指す。現場管理やCAD図面作製まで一気通貫で伝えたい」と丁寧な指導を心掛ける。
仕事の後は社員一同、家族のような付き合いでねぎらう。森忠裕社長は「言葉の壁はあるがミャンマーの人は優秀で一生懸命。技能とともにヤブシタの考え方を学んでもらえれば」と見守る。
受け入れの背景には職人不足がある。森社長は「国内では人材の確保が困難で、このままでは技能継承が途絶え、技術力が低下する」と感じていた。そこで就労意欲の高い東南アジアの人材に技能の伝承先を求めた。制度上、実習後は帰国する必要があるが、3人が成功すれば続く人は増え、実習後の就労で日本を選ぶ人も出てくると考えている。
高い技能を持つ海外人材は今後のビジネスパートナーにもなる。国内の建設市場は再開発需要や民間設備投資が活況だが、森社長はピークを東京五輪が開かれる2020年度と予想。既に大手ゼネコンは東南アジアに進出し、機器メーカーは省エネを武器に市場開拓に動いている。
この動きを注視するヤブシタも、東南アジア進出のタイミングをうかがう。その時が来れば「拠点を担う人材に」と期待する。