金沢市は6日、手狭で老朽化が進む金沢美術工芸大学の金沢大学工学部跡地への移転整備に向けた基本構想を検討する懇話会を設置し、初会合を開いた。今年2月に大学がまとめた新キャンパス構想を踏まえ、必要な機能などについて議論し、今年度中に基本構想を取りまとめる方針だ。
懇話会の委員には経済界や大学、行政などから7氏が選任。座長には水野一郎金沢工業大学教授が就いた。冒頭、山野之義市長は「約40年経つ現キャンパスは耐震補強もままならず、学生らが作品の展示や創作スペースでも苦労している状態。これからの美大のあり方を議論してほしい」とあいさつ。初会合では、現キャンパスおよび移転候補地とする金大工学部跡地の現状、新キャンパス構想の概要を確認し、意見交換を行った。
小立野5丁目にある金沢美大の現キャンパスは、総敷地面積5万4840平方メートル(有効面積約4万4000平方メートル)で、総延床面積は2万7953平方メートル。72年の開設以降、大学院棟や研究棟などの増築を経て、92年に現在の形となった。
一方、小立野2丁目の金大工学部跡地は、総敷地面積約8万4000平方メートル。県と市が共同で取得する意向を示し、山側環状道路と小立野通りに接続するアクセス道路の整備も計画。高さ15メートルまでの高度地区に指定されている。
大学がまとめた新キャンパス構想によると、既存施設の拡充整備に加え、附属美術館や社会連携センター、国際交流センター、メディアセンター、(仮称)大学院芸術研究センターなどの新設を求めている。
意見交換では、市民への開放や地域との連携、社会に貢献できる大学像や、世界に誇れる新キャンパスが理想とする意見が多く挙がった。また、県との敷地配分で構想が変わるとした指摘もみられた。
会合後、委員として出席した美大の前田昌彦学長は記者団に対し、「創造的な外観は譲れない。建築的に世界から注目を浴びるキャンパスであることが重要。金沢21世紀美術館やもてなしドームに続く、金沢が誇る建築の一つになることを望む」と新キャンパスに対する想いを熱く語った。