東京都や神奈川県、横浜市など9都県市は、防災危機管理対策委員会での合意に基づき「地震防災対策の充実強化」を国に提案する。内閣府がまとめた、南海トラフ巨大地震で長周期地震動が発生した際の超高層建築物の対策について、支援策の拡充も合わせて検討し実効性を担保することや、相模トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動への早急な対策、相模原市と横浜市への基幹的広域防災拠点の整備などを求める内容。7月4日から内閣府、総務省、財務省、文部科学省、国土交通省などを訪れ、それぞれ必要な措置を講じるよう求める。
9都県市では、火山活動の活発化や豪雨による河川の氾濫、土砂災害の発生など、首都直下地震対策以外の自然災害への備えが重要視されてきたと指摘。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、国内外の多くの来訪者が安心して大会に参加・観戦できるよう、首都圏の防災対策に万全を期すべきだとし、熊本地震や東日本大震災の教訓を踏まえつつ、地震防災対策のさらなる充実強化の必要性を訴える。
超高層建築物の長周期地震動への対策や複数の基幹的防災拠点の整備といった取り組みに加え、石油コンビナート地域の防災・減災対策として、消防法や高圧ガス保安法など技術基準の妥当性を検証し、必要に応じて見直すことを求める。災害時のエネルギー供給の観点から、事業者が行う液状化対策や津波浸水対策への支援の継続・拡充や、施設改修へのインセンティブを向上させる取り組みの必要性も訴える。
また、国が主導的な役割を担い自治体や民間に対してヘリサインの整備を促すとともに、富士山などの大規模噴火に備え、大量の火山灰が降灰した場合の除却・処分方法の明確な指針を示すことを要請する。
昨年9月に発生した関東・東北豪雨では鬼怒川などが氾濫し、広範囲の浸水被害が発生したことを踏まえ、首都圏大規模水害対処計画に国と地方の責任・役割分担を明記することや、既存施設の維持管理、治水施設の整備を着実に実施するよう求める。
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建通新聞社