京都市は1日、京都駅東南部エリア活性化方針策定委員会の初会合を開催。対象エリアの現状や課題を確認するとともに、まちづくりの方向性などについて議論した。
京都駅東南部エリアは、東九条地区住宅市街地総合整備事業対象地区(南区東九条東岩本町、南岩本町、北河原町、南河原町の9・43f)を中心とする地域で、山王学区の竹田街道より東側の7箇町(南区東九条東岩本町、南岩本町、北河原町、南河原町及び西岩本町、東山王町、南山王町)が対象。面積は22・17fで、27年10月時点の人口は1855人。
立地特性をみると、京都駅八条口から概ね徒歩圏内の距離に立地し、鉄道の利便性等に優れる。西京区から移転する京都市立芸術大学移転予定地の崇仁地域からも概ね徒歩圏内。エリア内を河原町通(国道24号)が南北に走り、道路交通の利便性も優れている。エリア内に高瀬川、東側には鴨川が南北に貫流する。
用途地域は、河原町通東側は大半が第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%/20m第2種高度地区)で、南側の一部が第二種住居地域(建ぺい率60%、容積率300%/20m第2種高度地区)。河原町通西側は大半が準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%/20m第3種高度地区)。河原町通沿いは商業地域(建ぺい率80%、容積率600%/25m高度地区)、八条通沿いは商業地域(建ぺい率80%、容積率600%/31m高度地区)、竹田街道沿いは商業地域(建ぺい率80%、容積率400%/25m高度地区)。
市営住宅は、岩本市営住宅(住戸数64戸)、高瀬川南市営住宅(住戸数75戸)、東九条市営住宅(住戸数79戸)、東岩本市営住宅1棟(住戸数30戸)、東岩本市営住宅2棟(住戸数47戸)、南岩本市営住宅(住戸数50戸、店舗数は7店舗)の計6棟・計345戸。
今後活用できる市有地は、竹田街道東側の山王小学校跡地7742u、河原町通東側の住宅市街地総合整備事業用地合計1万3215u(@1567uA3090uB341uC3010uD2062u(南岩本公園)E1615uF1530u)、その他市有地合計(建物なし)6998u(@367uA2006uB4352uC273u)で、全てを合わせると2万7955u。
活性化方針策定委の初会合では、委員長に長上深雪龍谷大学社会学部地域福祉学科教授を選任した。対象エリアについて、委員からは「高齢者が多いというのはその経験が生かせる。空き家があるということは活用の余地がある。空き地があることは新しい建物、新しい仕掛けができるという風にとらえるべき。京都駅に近いという利便性をどのように生かすかが大事。芸大が移転するのが活性化のトリガー(引き金)で大きな鍵を握る」「芸大の学生、若手芸術家にとって、制作の場、発表の場の確保が大事。空き家の活用ができれば大きなメリットと考えられる」などの意見があった。
市側からは「住宅市街地総合整備事業の施設整備はほぼ終わっている」「住宅市街地総合整備事業用地は用途以外で活用する場合、国費の返還が必要になる」「まちづくりの方向性として、文化庁のサテライト的機能を展開することを踏まえ、河原町通東側は文化・芸術によるまちづくりを進める。河原町通西側は商業・業務・サービス機能等の集積を図る。エリア全体として既に住宅地が形成されている地域の資源を生かし、特に若者の移住促進に取り組む」などの説明があった。
今後のスケジュールによると、活性化の基本的な考え方やコンセプト、エリアの将来像、具体的な施策を盛り込んだ活性化方針の答申(素案)を9月の第2回会合で審議してまとめ、10月に答申(素案)のパブリックコメントを実施。12月の第3回会合でパブコメの結果等を踏まえた答申(素案)の修正を行い、29年1月に市に答申する予定。
なお京都市総合企画局は京都駅東南部エリア活性化方針策定業務について、公募型プロポーザル方式で地域計画建築研究所(アルパック/京都市下京区)を受託候補者に選定した。業務内容は、@活性化方針の検討、策定A策定委員会運営補助B市民意見募集(パブリックコメント)実施補助等。履行期間は29年3月31日まで。