国土交通省熊本河川国道事務所は、熊本地震で被災した白川・緑川等の堤防について、梅雨明けから本格的な復旧工事に着手する。白川では、特殊堤と高潮堤計3件を地場業者で構成する3JVと6月17日に緊急随契し、緑川では6月28日に堤防復旧工事6件を一般競争入札で初公告した。6件とも参加資格に単体または地域維持型建設共同企業体(地域JV)を盛り込んだ試行工事で、今後も復旧・復興を促進させる目的で随時発注し、来年梅雨時期を前に早期本復旧を終える方針だ。
地域JVは、維持管理工事や災害対応などの担い手確保が困難となる恐れがある地域で導入を推進する方式。2〜5社で構成する。災害復旧工事での活用メリットを、九州地方整備局河川工事課の鵜木和博課長は「白川・緑川で復旧延長が約45`と長く、1年間という短期間で仕上げる必要があり、JV業者の機動力に期待している」と話す。
堤防本復旧については、地質や河川工学の専門家で組織する「緑川・白川堤防調査委員会」で具体的な対策工を検討。堤防区間は、変状個所の切り返しを基本に、沈下50a以上の場合は全体の切り返しを実施する。特殊堤・高潮堤区間は、コンクリート構造部に変状が生じ堤体沈下が20a以上の場合、液状化対策を実施するなどの対策工を目安として設定している。
6月28日には、河川等災害復旧事業として白川・緑川の堤防復旧に75億500万円の予備費使用を閣議決定した。来年梅雨までに本復旧するのは緑川40カ所(緑川本川27カ所、加瀬川8カ所、御船川5カ所)の延長約27`と白川12カ所の延長約18`。竜門ダムはダム周辺の法面が崩落したため対策工を、緑川ダムはロックフィルダム天端に150bの亀裂が確認されたため修復工事を実施する。
ほか、直轄河川の緊急的な災害対策等として22億6300万円を予算化した。白川・緑川で河川堤防等のクラック修繕および河道内の堆積土砂撤去等を緊急的に実施する。
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西日本建設新聞社