日本工業経済新聞社(群馬)
2016/07/04
【群馬】赤城西麓地区の応急対策、今秋にも着工
農林水産省関東農政局は、本年度から赤城西麓地区(前橋市、沼田市、渋川市、昭和村)で国営施設応急対策事業に新規着手する。事業期間は2023年度までの8年間。老朽化した既存施設の機能保全と耐震化に向けた整備を一体的に行う。総事業費は16億5000万円を見込む。現在は各種手続きを進めており、早ければ秋口にも一部工事に着手する。
赤城西麓地区は約2400haの畑地帯。赤城山の北面から南面にかけた標高350〜950mに展開する。戦後の入植増反地で耕作面積が大きく、生鮮野菜の供給地としての条件を備えるが、大半は水利に恵まれず、干ばつ被害にさらされ不安定な営農が余儀なくされていた。
こうした状態を改善するため、1981〜2000年度にかけて国営赤城西麓土地改良事業を実施した経緯がある。頭首工や調整池、用水路など基幹的な農業水利施設を整備した。これにより安定的な用水供給が図られ、レタスやホウレンソウの作付面積、大規模経営農家の割合が増加。農業所得が向上した。
造成から年数が経過し、頭首工では法面が崩壊、調整池では擁壁が剥落するなど、施設の老朽化が進んでいる。農業用水の安定供給や施設維持管理費用の軽減、大規模地震被害の防止に向け、既存施設の機能保全や耐震化を一体的に行う。
主要工事は頭首工改修1カ所(根利川頭首工)、調整池改修4カ所(利根、昭和、赤城第1、赤城第2)、揚水機場改修2カ所(第1、第2)、幹線用水路改修1・3q(導水路)、水管理施設改修一式。現在は事業計画の各種手続きを進めている。順調なら秋口にも、優先度の高い箇所から工事着手する。
事業を進めるに当たり、利根川水系土地改良調査管理事務所に赤城西麓支所(渋川市)を設けた。事業期間中は同支所が中心になって事業を進めていく。
6月29日には関係者が現地に集まり、支所の看板掛けと開所式が開かれた。関東農政局の島田眞司農村振興部長は「皆さまの期待に添えるよう支所のメンバーを中心にしっかりと取り組んでいく」と力強く述べた。宮崎一隆県農政部長は「今回の事業は県としてもしっかり支援していきたい」と語り、地元市村長からも事業に対する期待の声が挙がった。