板橋区は、加賀1丁目にある旧陸軍の火薬研究所の建造物などが立つ「野口研究所」と「理化学研究所」を近代化・産業遺産として保存し、隣接する加賀公園と一体的に産業遺産公園として整備する。2016年度は、マンション建設が予定されている隣地から、旧陸軍施設を公園予定地に曳家で移動するとともに、史跡公園整備構想委員会を発足し、基本構想の中で建造物の耐震診断・耐震設計・施工方法など保存手法を検討する。建造物を除く公園土木の基本設計を17年度に、実施設計を18年度にそれぞれ委託する。19年度に工事に着手し、20年度に一部を公開する。23年度内に建造物を含めた全体を完成させる予定。国史跡の指定を目指す。
敷地は野口研究所(加賀1ノ8)の3,800平方メートル、理化学研究所(加賀1ノ7)の3,800平方メートル、加賀公園(加賀1ノ8)の5,000平方メートルを合わせた1万2,600平方メートル。野口・理化学両研究所の敷地について16年度中に取得する予定。
ミュージアムゾーンを設け、(1)金沢市との交流を現す加賀藩下屋敷を遺す加賀公園ゾーン(2)火薬製造など近代工業の始まりを示す野口研究所ゾーン(3)物理研究・光学研究を展示する理化学研究所ゾーン―と三つに分けて産業と歴史の情報を発信する。(3)にはノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹氏と朝永振一郎氏の研究室を再現する。
有識者らによる史跡公園整備構想委員会で、今秋から17年度末まで基本構想を検討する。18年度に国の史跡公園指定に向けて計画を固める。
この中で野口研究所の火薬燃焼実験室(鉄筋コンクリート造2階建て延べ513平方メートル)、理化学研究所の物理実験室・357号棟(鉄筋コンクリート造平屋一部半地下構造延べ480平方メートル)と物理試験室・本館255号棟(鉄筋コンクリート造平屋603平方メートル)の耐震診断や耐震設計の検討、入札手法などを調査する。
16年度予算に火薬研究所等の発掘調査費として173万4,000円、解体対象建造物移設設置関連費として7,909万円を計上している。
提供:
建通新聞社