木更津市は、耐震性の不足により昨年4月から大ホール・集会棟を休館している市民会館について、今後の方向性をまとめた。それによると、現在の中ホールとは別に、定員500人程度の中規模な固定席の市民ホールを検討し、将来的には近隣市広域連携による新市民会館の共同建設を検討することとした。新市民ホールは現在地での整備を計画。
市民会館は、耐震診断で震度6以上の地震で倒壊または崩壊する危険性が高いとして、昨年4月から大ホール・集会棟を閉館し、中ホールのみを運営している。
今回の検討では、財政の動向、市民会館の位置付け、市民アンケートなどを踏まえ、1500席程度(8000u)を想定。@市単独で現在地で建て替え(A案)A4市(君津、富津、木更津、袖ケ浦)広域で建て替え(B案)B耐震補強を行い、15年後に4市広域で建て替え(C案)――の3つの整備手法について比較検討を行った。その結果、事業費はA案が171億円、B案が60億円、C案が82億円となった。A案は建設費・運営費ともに将来的な財政負担が重く、C案も、B案に比べ財政負担が重いうえ、共同建設までの間は他市の会館などの利用での代替となることなどから見送られた。このため、B案(近接市広域連携)による共同建設について調査研究していくこととした。
広域連携では、建設時期、場所等についての調整や料金格差を調整し、同一料金に向けた協議を進める必要性が指摘された。広域連携による施設整備の検討に向けては、公共施設全般について近隣市の行政改革担当レベルで協議を進めている。
一方、災害時の救援物資の集積場所や文化・芸術振興などの観点から、現在の中ホールとは別に、定員500人程度の中規模な固定席の市民ホールの必要性があるとして、公共施設再配置計画の中で早期検討を位置付けることとした。
同市では昨年10月から11月に市民アンケート調査を実施。その結果、約6割が市民会館は必要と回答し、発表会やコンサートなどが開催できる、ある程度の機能や規模を備えた施設に対するニーズが高かった。公共施設については「近隣市と共同で施設を整備・運営すること」に対し、約7割が実施すべきと回答した。
一方、同市の公共建築物は約7割が築30年以上を経過。これらの更新費用には年平均40億円が必要となり、中期財政計画(16〜19年度)での事業費は約15億円で、費用の削減が急務となっている。
市民会館の所在地は貝渕2―13―40地先。敷地面積は2万4400・22u。施設は大ホールと集会棟で構成。1970年6月30日に大・中ホール・集会棟、80年9月21日には中ホールが竣工した。大ホール・集会棟は、RC造3階建て延べ5702u(建築面積3754・46u)。中ホールはRC造平屋一部S造2階建て延べ1108・30u。