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建設新聞社(長崎)
2016/06/18

【長崎】長崎駅舎・駅前広場等デザイン基本計画

新幹線・在来線一体的に大空間を創出
港に向けて屋根を高くし眺望を確保
駅舎横断図
 在来線の高架化と新幹線の開業を踏まえて整備予定の新長崎駅舎では、新幹線・在来線が一体的に感じられる大空間を創出する計画だ。14日の県議会環境生活委員会で、県土木部が『長崎駅舎・駅前広場等デザイン基本計画』の内容を説明した。
 デザイン基本計画は、県と長崎市、JR九州、鉄道・運輸機構のほか、都市デザインの専門家で構成する「長崎駅舎・駅前広場等デザイン検討会議」がまとめたもの。同会議の事務局には、県・長崎市とともに、2014年3月のプロポーザルで選定された叶ン計領域(東京都)グループが参画している。
 デザイン基本計画の対象施設は、長崎駅舎と東・西駅前交通広場のほか、多目的広場、長崎駅中央通り線・東通り線・西通り線、トランジットモール線、歩行者専用道路といった長崎駅周辺土地区画整理事業区域内の施設。
 このうち駅舎のデザイン基本計画では▽来訪者を迎える大きなホーム空間の創出▽「海への方向性」を感じさせる空間の実現▽港に面した頭端駅の特徴を活かした空間の創出▽港・街・山に向かい合う「顔」の創出▽長崎らしい素材・技術の活用―の5点を提示。
 駅舎の屋根は新幹線と在来線が連続するような形状とし、新幹線側は高架端部と片側ホームにのみ柱を設置する2柱式で、できる限り広い空間を確保。在来線は、ディーゼル車の排気や雨の降込みを考慮する。また、屋根の南側(港方面)は、海へ向けて高くなるよう設定し、眺望を確保する。
 このほか、すり鉢状の地形の底に位置していることから、四方からの眺望に配慮した形状や照明計画にしたことが特徴だ。
 新幹線駅舎の設計・施工は、整備新幹線事業として鉄道・運輸機構が、在来線駅舎の設計・施工は、連続立体交差事業としてJR九州がそれぞれ行う。このため県では、このデザイン基本計画の実現に向けて、国土交通省との協議や関係者との調整を進めていく。

 大きなホーム空間(新幹線側から北側・在来線側を見通す)駅前広場 象徴的な東西軸を創出
 一方、駅前広場などのデザイン基本計画では▽駅周辺の大骨格となる象徴的な東西軸の創出▽市街地や水辺への回遊を引き出す重層的な歩行者動線の創出▽駅前を市民の憩いと活動の舞台とする広場群の創出▽駅からの明快な乗り継ぎを可能とする交通広場の配置▽駅周辺エリアの快適な移動をもたらす街路空間と滞留空間のしつらえ▽長崎の風景に調和した素材活用とストリートファニチャーなどの設置―の6点を提示。
 風景に調和した素材として、諫早石やハルデス煉瓦、イペ材(ボードウォーク)などを挙げている。
 駅前広場の基本・実施設計は、長崎市が本年度から18年度にかけてデザイン基本計画に基づいて進めていく。現在、設計事業者の選定に向けたプロポーザルの手続き中だ。ksrogo