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建設新聞社
2016/06/16

【東北・宮城】日本初のマイクログリッド構築/スマート防災エコタウンが誕生/宮城県東松島市

 宮城県東松島市が積水ハウスと共同で整備を進めてきた「東松島市スマート防災エコタウン」が完成した。日本初のマイクログリッドを利用し、災害公営住宅や病院・公共施設などに電力を供給するもので、バイオディーゼル発電や太陽光発電、大型蓄電池などを組み合わせることにより災害時に最低3日間は通常の電力供給が可能。システム設計・施工はきんでんが担当した。12日には電力マネジメントシステムの稼働開始を受け、現地で完成披露式典を開いた。
 この事業は、環境省の補助を受け、東松島市赤井地内で災害公営住宅「柳の目東住宅」のほか、周辺の病院・公共施設を自営線で結ぶ全国初のマイクログリッドを構築。電力需要と供給量を管理するエネルギー管理システム「CEMS」により効率的に電力を供給する。発電設備としては太陽光発電(防災調節池400`h、集合住宅49・9`h、集会所9・1`h)のほか、バイオディーゼル非常用発電機を配備。大型蓄電池(480`h/h)も備える。
 停電時には非常用発電機が約1分後に自動的に稼働を開始し、戸建て住宅70戸、集合住宅15戸、集会所、大規模病院2カ所、小規模病院2カ所、公共施設(運転免許センター)に電力を供給する。最低3日間は通常の電力供給が可能なほか、その後も住宅以外に一定の供給を続けることができるという。
 マイクログリッドや発電設備などを所有する東松島市は、宮城県の自治体で初めて設立した地域新電力の東松島みらいとし機構(HOPE)に事業運営を委託。エコタウンから生み出された電力を売電することで、その利益を設備投資の回収や保守費用に充当する。また、HOPEが取り組む地域新電力事業と連携することで、同市での雇用創出、地域経済活性化にもつながるという。
 12日の式典には、環境省の丸川珠代大臣、宮城県の村井嘉浩知事、東松島市の阿部秀保市長、積水ハウスの和田勇代表取締役会長兼CEO、同社の阿部俊則代表取締役社長兼COO、きんでんの前田幸一取締役社長らが参加。多くの近隣住民らも見学に訪れた。
 主催者を代表して阿部市長は「東日本大震災では、病院や避難所など命にかかわる施設は行政自らが自立分散型のエネルギーを確保することが必要と痛感した。今回、環境省の補助により、CO2削減と防災を両立したエコタウンが完成した。これからも防災・減災のまちづくりをしっかり進めていく」との決意を示した。
 来賓の丸川大臣は「東松島市にスマート防災エコタウンが完成したことは、復興のシンボルとして非常に重要。地球温暖化対策、防災、復興を同時に実現することを願っている」、村井知事は「東松島市のエコタウンは全国のリーディングプロジェクトであり、今後もハードソフト両面からのまちづくりに期待したい」とそれぞれ祝辞を述べた。
 共同事業者としてプロジェクトを先導した積水ハウスの和田会長は「マイクログリッドにより、環境・防災・経済活性化という三つのキーワードが実現できた。きんでんをはじめとした施工業者にも事故無く工事を仕上げていただいたことに感謝する」と話した。
 続いて関係者によるテープカットや、停電時を想定した非常電力供給のデモンストレーションなどを行い、参加者全員で新たなまちの発展を願った。

 提供:建設新聞社