東京都都市整備局は、空き家の有効活用に向けたモデル事業の検討を始める。民間事業者を活用し、空き家の活用を検討する所有者とさまざまな活用方策を相談・検討して実行に移す仕組みをモデルとして構築する。併せて、持ち家に住む高齢者がサービス付き高齢者住宅や利便性の高いマンションに転居し、持ち家をファミリー世帯に貸し出す仕組みについてもその課題や促進策を検討する。
都内には全国の約1割に当たる約82万戸超の空き家があり、このうち相続などで所有したものの長期間使用していない住宅が約15万戸あるという。また、都内にある一戸建ての空き家約11万戸の半数は相続によるものだ。老朽化して倒壊などの恐れがあるまま放置されている建物もあり、まちづくりや防犯上の課題が指摘されている。
そこで、空き家の利活用を円滑化するためのモデル事業の枠組みと制度を構築するとともに、高齢者の住み替え支援による空き家の発生防止と既存ストックの活用方法を検討することにした。
空き家利活用のモデル事業については、都が複数の不動産業者を公募・選定し、事業者が相談窓口を設置して所有者の利活用の相談に応じる枠組みを想定している。選定された事業者がコンサルタントや設計事務所、建設業者といった各分野の専門家と協力してさまざまな活用手法を考え、その検討成果を所有者に提示。これを基に空き家の所有者が具体的な利活用に取り組む。都はその結果を踏まえて事例集などを作成し、区市町村と連携して空き家の所有者らに情報を提供する。
一方、高齢者の住み替え支援では、移住・住み替え支援機構や民間による取り組みの事例を集めてヒアリングを実施。利用状況や利用者の傾向、高齢者が住み替えに同意しない理由などを分類・整理する。併せて区市町村が用意している住み替え支援策を確認し、利用状況や利用者の傾向などを確認する。
その上で、子育て世帯や社会的な視点から、高齢者の持ち家を活用することのメリット・デメリットを整理し、課題を分析。持ち家高齢者の将来の住まい方のイメージを考えるとともに、補助制度や規制、税制措置といった促進策を検討する。
都は、6月22日の希望制指名競争入札を経て調査業務を委託し、2016年度末までに成果を得て総合的な空き家対策の実施につなげていく考えだ。
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建通新聞社