東三河建設事務所は、豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市を管轄しており、2016年度は国道151号一宮バイパス、東三河環状線などの道路事業のほか、地震対策事業で柳生川の堤防耐震対策などに取り組む。16年度の重点事業について、2年目を迎える山口豊所長に話を聞いた。
――16年度の予算規模は。
「全体では約118億円で、15年度より若干の増額となった」
――主な国道事業は。
「151号の豊川市内、247号の蒲郡市内の2カ所でバイパス事業を、259号の豊橋市内で交差点部の改良事業を進める。151号一宮バイパスは、新城市川田から豊川市麻生田町までの全体延長7・9`の東三河地域の縦貫軸となる幹線道路。このうち、豊川市大木町から麻生田町までの約3・6`を、先行して用地買収を進めている。16年度は、引き続き用地買収を進め、早期の工事着手を目指す」
「蒲郡市内の247号中央バイパスは、全体延長5・6`の環状機能を持つ幹線道路。都市計画道路坂本線から東側の区間、三谷町の現道(星越バイパス)までの約3・7`区間と、蒲郡碧南線から芦谷蒲郡線までの約0・4`区間を供用している。16年度は残る区間の17年度供用に向けて、道路築造、舗装などを予定する」
「豊橋市内の259号植田バイパスは、全体延長5・1`の幹線道路。13年3月に暫定2車線で供用開始した。その後、23号豊橋バイパスの全線開通もあり、大崎インターチェンジ周辺で渋滞が生じたため、即効性のある対策として、15年度から大崎インターチェンジ西交差点の改良に着手した。16年度は、天津交差点の用地買収を進める」
――主な県道事業は。
「東三河環状線は、豊橋市、豊川市などの市街地外周部で計画する幹線道路。3月には、豊橋市の乗小路トンネルを含む牛川工区が開通し、全体延長30・6`の8割に当たる24・9`が供用。
15年度から調査を進める石巻工区終点から豊川を渡り、豊川市内に至る約2・4`の区間については、道路予備設計や用地調査、用地買収に着手する予定。豊川市内では、東三河環状線から千万町豊川線までの大崎工区(約1・7`)で、用地買収と工事を、千万町豊川線から三蔵子一宮線までの三蔵子工区(約1・5`)で、用地買収と工事を予定する」
「田原市内の豊橋渥美線は、浦町で用地買収と工事を、豊橋市内の太田中原線は、中原町で用地買収を進める。豊川市内の豊川蒲郡線は、名豊道路の(仮称)金野インターチェンジへのアクセス道路を整備するため、御津町で用地買収と工事を予定する」
――交通安全対策事業は。
「交通安全対策事業では、自転車歩行者の交通安全対策と交差点の事故対策に取り組む。蒲郡市内の国道23号はじめ12カ所で自転車歩行者道路設置事業、豊川市内の千万町豊川線はじめ15カ所で交差点改良事業を予定し、一部では交差点のカラー化を行う」
――都市計画事業は。
「街路事業は、豊橋市内の小松原街道線で浜道工区の用地調査、豊川市内の姫街道線で八幡工区の用地買収を予定する。公園事業の東三河ふるさと公園は、豊川市の西部に位置し、計画面積175fの広域都市公園。00年度に工事着手し、09年3月までに124fを供用した。引き続き未整備区域の用地買収と一部園路工を予定する」
「流域下水道事業は、供用開始から30年以上経過し、管渠や豊川浄化センターの水処理施設、汚泥処理施設などが老朽化しているため、各施設の更新を進めている。引き続き、更新に合わせた2系水処理施設の高度処理化や、安心・安全な暮らしを守るための地震対策として、汚泥棟と管渠の耐震対策を行う。また、下水汚泥からバイオガスを取り出し、エネルギーとして利活用する事業をPFI手法で進めている。引き続き工事を進め、10月ごろに事業者による運営業務を、17年2月には、発電を開始する目標で進める」
――河川・砂防事業は。
「河川事業は、豊川市内の音羽川、白川、田原市内の汐川などで改修を行う。また、豊橋市内の柳生川では、継続して地下河川に関する用地取得や調査・設計などを進めるとともに、堤防の補修・補強を予定する」
「砂防事業では、蒲郡市内の西山二の沢の堰堤工事をはじめ7カ所で工事を行い、土石流対策などを進める」
――港湾・漁港事業は。
「港湾・漁港事業は、老朽化した施設の長寿命化対策として、伊良湖港の桟橋や、蒲郡市内の知柄漁港の物揚場で補修工事を行う。また、知柄漁港では、泊地の浚渫を予定する」
――地震対策事業は。
「15年度から始まった第3次あいち地震対策アクションプランに基づき、地震から県民の生命・財産を守る強靭(きょうじん)な県土づくりを目指して、地震防災対策を計画的・効果的に推進する。道路事業では、国道23号の浜田橋、永久橋の耐震対策工事を予定。河川事業では、柳生川で堤防の耐震対策工事を行う。海岸事業では、豊橋海岸(杉山地区)の延長5・1`、田原海岸(谷熊地区)の延長1・3`で、海岸堤防の耐震対策を進めている。第3次アクションプランに位置付けられ、本格的に工事を進めていく。また、第2次アクションプランにより海岸堤防の耐震対策工事を進めてきた豊橋海岸(吉前・神野新田地区)は、最終の仕上げ工事を行い、完了する予定」
――地域の建設業界への要望と期待について。
「建設業の皆さんには15年度も、台風の際に防災協定に基づいて迅速に巡視業務をしていただいた。この地域では、南海トラフの巨大地震の発生が危惧されるなど、地震による甚大な被害が想定されている。いざ、災害が発生した場合、やはり地域の建設業の方による、初動期の被害状況の把握、応急復旧対応が非常に重要となる。また、災害発生時の応急復旧とともに、産業や地域の安全を支えるインフラ整備には、地域の建設業の技術力が必要不可欠。大変期待している」
「今後も、適切な施工ができる環境整備を図りながら、地元建設業の健全な発展に取り組んでいく」
提供:
建通新聞社