松阪市入札等監視委員会(楠井嘉行委員長)は、入札制度のさらなる改善を目的とした意見書を竹上真人市長に提出した。入札参加者の減少などの状況を改善する手法として発注基準の見直しなど三つの意見を盛り込んだ。
同委員会は、入札契約適正化法に基づく第三者機関として2007年度に設置された。意見書は、前年度の入札や契約状況などについての監視事項に対する取りまとめとして毎年実施しており、今回9回目となる。
15年度の入札案件で、監視対象とした494件のうち、落札率の高かった案件や入札参加者の少なかった案件など157件を抽出し審議を行った。この中で、「松阪市子ども発達総合支援施設新築工事」、「災害復旧工事」、「低入札価格調査制度」について課題や評価する点を挙げた。
「松阪市子ども発達総合支援施設新築工事」では、大手ゼネコンの入札参加が見込めず、入札参加者が限定的となり競争性が働かない状況で入札を執行した結果、入札不調が生じた。再入札で入札参加条件を緩和することで施工者の決定に至った。同件については、入札不調が大型工事でも顕在化していることを示したが、参加条件の見直しで対応したことを評価した。
「災害復旧工事」については、事前に入札参加条件の緩和や繰り越し手続きによる適正工期を確保し入札不調対策を講じた結果、不調件数を大幅に減少すると同時に円滑な竣工に努めた点を評価した。
「低入札価格調査制度」については、制度が適用された入札案件21件のうち、特に土木一式工事では予定価格算出に伴うくじに左右されず、企業努力が反映できる範囲で競争性が発揮された点を評価した。
これらの課題や評価を踏まえ同委員会ではさらなる入札制度の改善に向けた三つの意見を提出した。
主な内容は次の通り。
▽意見1「建築一式工事における発注基準の抜本的な見直し」―同市の建築一式工事全般の入札参加者の推移は、02年度に21・7社だったが、15年度は4社と大幅に減少し、特に繁忙期となる年度後半の工事では5社未満となる入札が大半となっている。発注基準は、02年度から抜本的な見直しがされておらず、市内の登録業者数の減少などを考慮する中で、現状に見合った発注基準の抜本的な改正の実施を求めた
▽意見2「年間を通じた工事の早期発注・平準化」―毎年の発注時期を見ると、第2、第3四半期に工事が集中する傾向にあることから、具体的な発注目標(例えば、第1四半期で30%以上の発注率)を定めるなどの取り組みが必要。また、工期が12カ月未満で終わるような工事(道路維持工事など)にも債務負担行為や繰越制度の柔軟な活用により、工事量を増やす手法などが必要
▽意見3「災害復旧工事に向けたインセンティブ発注制度の構築」―災害復旧工事への入札参加意欲を向上させる仕組みとして、優良施工業者や災害協力業者などを入札参加で優遇するインセンティブ発注制度の試行導入の検討
提供:
建通新聞社