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建通新聞社(中部)
2016/06/06

【岐阜】県多治見土木 2016年度事業展望

 岐阜県多治見土木事務所は、多治見市、瑞浪市、土岐市の県東南部の3市を管轄する。管内の面積は382平方`と県全体の3・6%だが、人口は約20万人と県全体の10・2%を占め、低山地内の河川沿いに人口が集中している。都市周辺の住宅団地の開発や企業、大型商業施設の進出などで交通量が増大しており、幹線道路では慢性的な交通渋滞が発生し対策が求められる。また、管内では陶土が採掘されるように、地質が脆弱(ぜいじゃく)で土砂災害警戒区域も多く、地すべりや豪雨災害なども懸念される。野原克浩所長に2016年度事業計画を聞いた(聞き手は岐阜支局=村上周平)
野原克浩所長――16年度基本方針は。
 「ぎふの未来を支え、命と暮らしを守る強靱(きょうじん)な県土整備、を目標に掲げた16年度県土整備部基本方針の政策の4本柱に沿っている」
 「一つ目は、ひとやしごとを岐阜に呼び込むための社会資本整備として、国道248号、県道土岐可児線、東濃西部都市間連絡道路などのネットワーク・インフラ整備や、産業活性化や地域の安心・安全につながる幹線道路を整備する」
 「二つ目は確かな安全・安心に向けた強靭な県土づくりとして、ハード対策で広域災害に備えた緊急輸送道路の法面の落石・崩壊対策と土岐川・肥田川・日吉川などの河川改修、国の砂防事業区域以外での砂防事業などを推進する」
 「三つ目は、<清流の国ぎふ>づくりとして、土岐川の魚道の修繕、川を題材とした総合学習を支援する」
 「四つ目は社会資本を支えるパートナーの育成・支援として、地元建設業の人材確保や、社会基盤メンテナンスエキスパート(ME)を活用した維持管理体制を推進する」
――16年度の予算規模、編成について。
 「当初予算の総額は約25億円。事業別では道路建設事業が約6億円、街路事業が約5億円、道路維持事業が約6億円、河川事業・砂防事業がそれぞれ約4億円である」
――主な事業について。
 「道路建設事業では交通渋滞対策として、多治見市北部の国道248号で進めてきた4車線化を年度内に完成させる。可能な範囲で部分供用させ、早期の事業効果も発揮したい。同路線では多治見インターチェンジ(IC)前の交差点改良で用地買収も進める。このほか豊田多治見線の滝呂バイパスでも用地買収を進める。土岐市内では東海環状自動車道五斗蒔スマートインターに接続する土岐可児線で信号交差点設置と登坂車線設置を年度内完成させる」
 「昨年2月に一部供用した東濃西部都市間連絡道路(一般県道肥田下石線)では、土岐南多治見インター線より東の土岐足助線まで間ので調査設計を進める。国道363号柿野バイパスでは休止工区を今年度再開し、用地買収を進める」
「瑞浪市内では北部の日吉地内の大西瑞浪線で、狭小・屈曲部の解消を目指し現道拡幅工事を進めており、残る用地の買収と工事を継続する」
 「街路事業では、新土岐津線(一般県道河合多治見線)と妻木線(主要地方道土岐足助線)で、用地買収を継続する。妻木線は隣接して進められる組合施行の土地区画整理事業が予想以上にスムーズなので、県事業が遅れないよう鋭意、用地買収を行う」
 「道路維持事業では、緊急輸送道路上の橋の耐震補強工事は終えており、鉄道駅へアクセスする市之倉内津線・諏訪橋で橋脚補強工事を継続する。瑞浪大野瀬線・瑞浪大橋、土岐足助線・栄楽橋では防護柵の付け替えや補修工事も行う」
 「舗装補修では、国道248号、多治見恵那線など管内各所で舗装補修工事を行う。このほか道路パトロールに加えてMS(メンテナンスサポート)制度も活用して地域住民と連携した道路維持を進める」
 「交通安全事業では、優先的に通学路の歩道整備を進める。多治見犬山線(多治見市小泉町)では歩道整備と交差点改良を年度内に完成させる。土岐可児線(土岐市久尻)では国道19号から可児市側への歩道整備と交差点改良を今年度の横断歩道橋の架け替え工事などで完了させる」
 「防災事業では、多治見市内の下石笠原市之倉線などで落石事故の防止と異常気象時の通行規制区間の解除を目指し、緊急輸送道路上の危険箇所を優先した落石対策工事を実施する」
 「河川事業では、岐阜県新五流域総合対策プランに基づき、土岐川流域の笠原川(多治見市大畑町)で床固改良を完成させ、その上流の河積阻害箇所の解消に向け設計を行う。肥田川(土岐市肥田町)では石仏橋の架け替え工事を継続するとともに、旧橋撤去と右岸の護岸工事を実施する。土岐川(瑞浪市土岐町)では、河積阻害の堰を除却するための護岸工事を継続する。日吉川(瑞浪市日吉町)では、自然環境に配慮した河川改修工事を継続する」
 「砂防事業では、月見2―2谷(多治見市月見町)が新規事業化され、堰堤(えんてい)2基の調査設計を行う。不動川(瑞浪市釜戸町)では2基目の堰堤工事を継続する。上ノ平洞(瑞浪市小田町)では用地買収を早期に完了し工事着手する。また県単独事業では滝沢川(瑞浪市土岐町)で護岸工事を継続する」
 「急傾斜地崩壊対策事業では、小泉(多治見市小泉町)で用地買収し、工事に着手する。小泉2(同地内)では用地測量を行う。南山(瑞浪市土岐町)と細久手(瑞浪市陶町)では擁壁、法枠工を継続する」
 「地すべり対策事業では、地質が粘土層や亜炭層など脆弱で地すべり防止区域が多いことから、地すべり対策や観測を強化している。瑞浪市白倉では調査設計、用地買収を行い、対策工が概成した瑞浪市南垣外では経過観測を継続する」
――建設業に向けたメッセージなど。
 「地域建設業は、社会資本の整備や維持管理に不可欠であり、地域の安全・安心、雇用の確保に必要な存在だ。道路や河川の維持補修業務では昼夜を問わず迅速な作業によって、道路事故の防止や適切な維持管理につながっている。また冬季は早朝の除雪や凍結防止剤の散布作業などに対応していただき、地域の社会経済活動に大切な役割を担っていただいている」
 「建設業を取り巻く経営環境は依然厳しいが、公共事業への地域のニーズは高く、老朽化する社会資本の補修、改築など、やるべきことはたくさんある。多治見土木事務所としても、事業量の確保、事業のスムーズな進捗に取り組んでいくので、今後とも協力をお願いするとともに、建設業が”若者に夢をもって将来を託せる産業”になるよう、互いに力を合わせていきたい」

提供:建通新聞社