建通新聞社(神奈川)
2016/06/02
【神奈川】時間雨量60_対応へ河川改修、2万f超で下水道整備 今後30年間に 県・都・市が境川流域の水害対策計画素案
神奈川県や東京都と都県6市は境川流域の水害対策計画素案をまとめた。今後おおむね30年間に取り組むハード・ソフト施策を整理したもので、ハード施策では時間雨量60_の洪水に対応できる河川改修や洪水調節施設の整備、区域面積2万f超での下水道整備などを盛り込んだ。市民意見募集(6月1〜30日)や国土交通省への同意付き協議申請などを経て、今夏にも正式な計画とする。
境川は相模原市緑区の城山湖付近の水源から東京・神奈川の都県界を南に流れ、県内で柏尾川などの支川を合わせて藤沢市で相模川に注ぐ幹線流路延長約52`、流域面積約211平方`の2級河川。県が河口〜鶴瀬橋上流付近の下流部と根岸橋〜川堺橋の上流部の合計約41・5`、都が鶴瀬橋上流付近〜根岸橋の中流部約10・5`を管理し、時間雨量50_の洪水に対応できるよう河川改修を進めてきた。
また、町田・相模原・大和・横浜・藤沢・鎌倉の沿川6市の下水道普及率(汚水)は95%超、都市浸水対策達成率(雨水)は40〜70%台となっている。
水害対策計画は特定都市河川浸水被害対策法に基づく法定計画で、浸水被害対策の基本方針や洪水被害の発生を防ぐ目標雨量の規模、河川と下水道の対策などを法的に位置付けるもの。
素案では流域の約7割を市街地が占め、2000年以降も台風や豪雨でたびたび浸水被害が発生していることから、洪水被害の発生を防ぐ目標雨量の規模を1時間当たりおおむね60_とした。沿川市の下水道に関わる都市浸水目標対象降雨については1時間当たり47_〜60_に設定する。
ハード施策のうち河川関係の内容を見ると、県は本川管理区間の護岸工や河道掘削による河道断面の拡大に加え▽境川遊水地▽相鉄本線上流付近▽風間遊水地―の洪水調節施設の整備などを挙げた。支川の柏尾川でも河道断面の拡大などを進めつつ、いたち川合流点付近〜柏尾橋付近に洪水調節施設を設ける。
都も本川管理区間の河道断面の拡大などを実施。下流の整備状況を踏まえ、時間雨量65_にも対応できるよう総量約76万立方bの洪水調節施設を整備して、治水安全度の向上を急ぐ。
さらに、横浜市は市が管理または施行(工事・維持)する▽宇田川▽和泉川▽柏尾川▽平戸永谷川▽阿久和川▽いたち川▽舞岡川▽名瀬川―の8河川で河道断面の拡大などを行う。柏尾川・いたち川・名瀬川を除く5河川の流域内には洪水調節施設も整備するとしている。
一方、下水道関係については、おおむね30年間の整備予定区域面積を▽横浜市=1万0274f▽相模原市=3008f▽鎌倉市=1699f▽藤沢市=2203f▽大和市=1302f▽町田市=1899f―の合計2万0386fと規定した。このうち、横浜市は下水道貯留施設と雨水ポンプ場の整備で8万6700立方bの貯留容量と毎秒84立方bの排水能力、藤沢市も同様に9140立方bの貯留容量と毎秒30立方bの排水能力を確保していく。
提供:建通新聞社