高知県は5月26日、南海トラフ地震対策推進本部会議を開き、9日の前回会議で示された熊本地震から見えてきた課題と対応策について、今後の具体的な取組内容を部局別に発表した。土木部が啓開道路の橋梁耐震化について必要に応じたレベルアップを検討することや、緊急輸送道路の法面対策加速化などを盛り込んだほか、警察本部が新高知署と新築移転予定の2庁舎の整備計画前倒しを含め検討することを示した。
啓開道路などの橋梁の耐震補強や跨道橋の落橋原因については、国土技術政策総合研究所などの調査結果を踏まえ、現在の耐震補強レベルで十分かどうか検証し、必要に応じてレベルアップを検討するとした。これに関連し、緊急輸送道路などの法面対策も加速化する方針を示した。
また防災拠点建築物の安全性確保については、「現行の耐震基準は震度7クラスの2回の連続した地震で倒壊しないことを想定していない。2回目の震度7クラスで建築物がどのような挙動を示すのかも不明」とし、国の方針を参考に対応策を検討するとした。
警察本部が整備計画の前倒しを含めて検討するとした施設は、現在設計中の新高知警察署のほか、移転も含めた改築を計画している南国警察署香美警察庁舎と同香南警察庁舎。このほか被災時の渋滞対策として、老朽化した信号柱の交換などを加速する。
地域福祉部は、前回会議で新規事業として挙げたグループホームの耐震化については、耐震化未対応施設に対し、意向調査を実施し対応方針を検討する。文化生活部は、新規事業として美術館、歴史民俗資料館、文学館、文化ホールのつり天井落下防止対策を挙げ、現在調査と基本設計まで実施しているが、順次改修工事を進めるとした。
水産振興部は、陸路が遮断され長期孤立が予想される漁村で、緊急支援物資輸送船の離着岸施設を整備するとした。農業振興部は、土佐あかうし種畜牛と土佐ジロー、はちきん地鶏の種鶏舎の耐震化を加速する。公営企業局は、管理する杉田ダムと吉野ダムの非常用発電機が長時間連続運転仕様ではないため、潤滑油タンク増設など設備改修について早急な具体策を検討する。
これらの対応策は、今後具体策を検討し、2016年度から進めている第3次南海トラフ地震対策行動計画の中に反映させる方針。
提供:建通新聞社